写真●左から、日経BPの浅見直樹執行役員、カヤックCEOの柳澤大輔氏、ジンガジャパン代表取締役社長CEOの松原健二氏、ヤフー マーケティングソリューションカンパニー 事業推進本部 本部長の宮澤弦氏、リブセンス代表取締役社長の村上太一氏
写真●左から、日経BPの浅見直樹執行役員、カヤックCEOの柳澤大輔氏、ジンガジャパン代表取締役社長CEOの松原健二氏、ヤフー マーケティングソリューションカンパニー 事業推進本部 本部長の宮澤弦氏、リブセンス代表取締役社長の村上太一氏
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 「なぜ働くのか」「新しいことをやるのに、今は小さい組織が最適なのか」「組織として新しいものを次々と作り出すにはどうすればいいのか」――。2012年10月10日に開幕したITpro EXPO初日に行われたパネルディスカッション「イノベータと共に考える~働き方はあなたが変える」では、このような話題をテーマに、ネット企業のトップ4人が議論を交わした。

 「なぜ働くのか」「新しいことをやるのに、今は小さい組織が最適なのか」「組織として新しいものを次々と作り出すにはどうすればいいのか」――。2012年10月10日に開幕したITpro EXPO初日に行われたパネルディスカッション「イノベータと共に考える~働き方はあなたが変える」では、このような話題をテーマに、ネット企業のトップ4人が議論を交わした。

 パネリストは、カヤックCEOの柳澤大輔氏、ジンガジャパン代表取締役社長CEOの松原健二氏、ヤフー マーケティングソリューションカンパニー 事業推進本部 本部長の宮澤弦氏、リブセンス代表取締役社長の村上太一氏。モデレーターは、日経BPの浅見直樹執行役員が務めた(写真)。

「あなたはなぜ働くのか」

 「あなたは、なぜ働くのか」。カヤックの柳澤氏は「いきなり深い質問だ」と驚きながらも、「目の前の打ち込めること、周囲から求められていることをやる。それが生きがいになる」と仕事に対する自らの姿勢を述べた。スティーブ・ジョブズ氏がジョン・スカリー氏をスカウトしたときに用いたとされる「このまま一生、砂糖水を売るつもりか」というエピソードについても、「砂糖水にかける人生もいい」と現状肯定型の考えを示した。

 ジンガジャパンの松原氏のモチベーションは「世界で一番であること」。大学でコンピュータサイエンスを学んだ後、世界一速い計算機を作ろうと社会に飛び込んだこと、ソーシャルゲームで一番手であるジンガに移った経験を語り、「一番と二番では全然違う」との考えが根底にあると語った。現在の目標は、日本で作ったものをジンガを通じて世界に送り出すことだという。

 ヤフーの宮澤氏は、大学卒業後に位置情報サービスを提供するシリウステクノロジーズを創業、28歳になった2010年にヤフーに買収されたという経歴を持つ。同氏の仕事観は「自分自身が動くことで、世の中を変えていくこと」。ヤフーに買収された後も、ヤフーが同じような考えを持っていることが働きやすさにつながっているという。「年を追って、大きなものを変えたいという思いが強くなっている」(宮澤氏)とした。

 最年少の上場企業トップとして有名になったリブセンスの村上氏は「幼いころから、ヤマト運輸の宅急便など新しい事業に注目していた」という。「規制を乗り越えて成長するのが好き。新たな当たり前を作っていったことに興味を持った」(村上氏)。成功報酬型の人材マッチングサービスである現在の事業は高校生のうちから準備を始め、19歳で事業化したもの。社会に大きな影響を与えられることを重視しているという。

「大企業か、起業か」

 2番目のテーマは「今、新しいことを始めるのに、大企業がいいのか、起業するのがいいのか」。モデレーターの浅見執行役員が「自分自身が社会人になった25年ほど前には、面白いことや夢をかなえるには大きな会社がいいという考え方が多かった」と振り返り、当時と現在は違っているのではないかと問い掛けたのだ。

 カヤックを創業した柳澤氏は「名刺デザインから電話番号の選択まで、自分で決められるのが起業の面白いところ」とする。自身を「目の前のことをやって広げていくタイプ」と分析する同氏は、起業に向いていると自己評価する。

 シリウステクノロジーズを創業し、現在はヤフーの本部長を務める宮澤氏は「人による」というスタンスだ。大企業にも、小規模企業にも一長一短があり、どちらを選ぶのかは個人の価値観次第と考えるからだ。自らの経験から「大企業でも変化するところが増えてきた。どちらでも楽しめる」(宮澤氏)。

 自身を「せっかち」とする村上氏は起業を選んだ理由として「やりたいことを可能な限り早くやりたいから」とする。自己分析をしたうえで起業を選んだという点で柳澤氏と共通する。こうした若手経営者を前に、今回のメンバーでは最年長となる松原氏は「今なら起業が選択肢になっていただろう。現在はいろいろな選択肢があってうらやましい」とした。