中国の通信機器大手、Huawei Technologies(華為技術)とZTE(中興通訊)の活動や製品が米国の安全保障の脅威になるとする米下院の報告書を受け、両社は現地時間2012年10月8日、それぞれ反論の声明を出した。Huawei Technologiesは「報告書はあらかじめ決められた目的に沿って作成されたもので、Huaweiの事業活動に対する事実誤認がある」、ZTEは「我が社の機器は安全であり、米国の通信インフラの脅威にはならない」などと述べている。

 米下院情報委員会は10月8日、11カ月におよぶ調査結果を報告書にまとめた。この中でHuaweiとZTEの2社には中国当局の影響が及んでおり、両社の製品を使うことは米国通信システムの安全保障上の脅威になると報告した。また、両社は中国当局から保護されており、米国の競合企業に不利益もたらすとし、米国の通信事業者に両社と取引を行わないよう促した。

 これについて、電子機器・部品に詳しい米国の市場調査会社IHS iSuppliは、「HuaweiとZTEの2社はもともと米国の通信事業者との取引実績が少ないため、大きな影響はない」と分析している。

 IHS iSuppliによると、2011年の1~9月の無線インフラ機器世界市場におけるHuaweiの売上高は89億ドルで業界トップ。同社の売上高順位は2010年時点では3位だったが、その後、世界市場で売り上げを伸ばし首位に浮上した。

 IHS iSuppliは、「Huawei、ZTEともに世界市場では躍進しているが、米国における市場シェアはまだ低い。今回の報告書の影響で両社の米国進出に遅れが生じるものの、両社の事業全体に及ぶ影響は小さい」としている。米政府はこれまでも中国通信企業による米企業の買収や、米企業との取引を妨害してきたという経緯がある。こうしたことから、米企業はリスクを避けるためHuaweiやZTEとの取引を躊躇する傾向があるとIHS iSuppliは分析している。

[Huawei Technologiesの発表資料]
[ZTEの発表資料]
[IHS iSuppliの発表資料]