2012年10月2日から幕張メッセで開催していた「CEATEC JAPAN 2012」において、東芝はNANDフラッシュを搭載したハイブリッドHDD「ハイブリッドドライブ」を参考出展した(写真1)。ハイブリッドドライブは、従来型のHDDにNANDフラッシュを搭載(写真2)。頻繁に読み書きされるデータをNANDフラッシュに配置することで、高速化を図っている。

写真1●左からSSD、ハイブリッドドライブ、従来型HDDの展示用模型
写真1●左からSSD、ハイブリッドドライブ、従来型HDDの展示用模型
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写真2●ハイブリッドドライブの概要
写真2●ハイブリッドドライブの概要
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 現在、HDDより高速なストレージとしてSSDが注目されがちだが、容量に比して価格が高いという難点がある。これに対して、ハイブリッドHDDの価格は従来型HDDよりもわずかに高い程度で、容量は750Gバイトと1Tバイトをラインナップ。8GバイトのNANDフラッシュと、従来型HDDと同じくDRAMによるキャッシュメモリーも搭載する。どのようなデータをキャッシュするかについて、ユーザーの利用パターンを自動的に学習するアルゴリズムを備えている。突然の電源断が発生しても、NANDフラッシュのデータが失われることはないという。

 似たような仕組みとして、インテルによるSSDとHDDを組み合わせたストレージ技術もある。小容量の高速なストレージと大容量のHDDを組み合わせるというアイデアは同じだが、「ハイブリッドHDDはひとつのパッケージになっており、既存の2.5インチドライブとの置き換えも容易」(ブース担当者)とのことだ。

 具体的なパフォーマンス向上幅について東芝ブースでは、同一スペックのPCでSSD・ハイブリッドHDD・従来型HDDを使用した場合の起動時間を計測している(写真3)。これによると、速度的にはSSDをわずかに下回るものの、HDDを大きく上回っている。また、OSからはハイブリッドドライブは単一のドライブとして認識され、ユーザーがNANDフラッシュの存在を意識する必要はない。

写真3●SSD、ハイブリッドドライブ、従来型HDDによる起動時間の比較<br>SSDよりわずかに遅いが、HDDより大幅に早い。
写真3●SSD、ハイブリッドドライブ、従来型HDDによる起動時間の比較
SSDよりわずかに遅いが、HDDより大幅に早い。
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 現在発表されている製品は2.5インチ・9.5mm厚となっている。NANDフラッシュはHDDのコントローラが配置される基板上に実装されており、体積的にもそれほど大きなものではないという。将来的には7mm厚など薄型のハイブリッドHDDも十分に実現可能とのことだ。