写真●マイクロソフトの製品戦略について説明する米ガートナーのデイヴィッド・カーリー氏
写真●マイクロソフトの製品戦略について説明する米ガートナーのデイヴィッド・カーリー氏
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 米ガートナーは2012年10月4日、「Windows 8」を中心とした米マイクロソフトの製品戦略について分析する調査レポートを発表した。東京都内のホテルで開催したイベント「Gartner Symposium/ITxpo 2012」の中で、報道陣向けに説明会を開いた。

 ガートナーのマイクロソフト担当アナリストであるVP&Gartner Fellowのデイヴィッド・カーリー氏(写真)と、報道陣とのやり取りをまとめた。

法人用途の端末でも、実質的な「決定権」は個人に

10月26日に発売するWindows 8(関連記事)は成功するか。

 マイクロソフトはWindows 8発売に当たって、リスクを取った大きな賭けに出ている。今後2年間が勝負どころだ。賭けに勝てば、向こう10年間は安泰だろう。賭けに負ければ、スマートフォン/タブレット端末なども含めたクライアントコンピュータの分野で急速に存在感を失うことになる。

 賭けとは具体的には、Windows 7からWindows 8への移行に当たってユーザーインタフェースなどOSの根幹部分に大きな変更を加えたことを指す。特に法人ユーザーは、OSの大きな変化を望まない。それは、今でもWindows XPを使い続けている企業・組織が多いことからも明らかだ。

 マイクロソフトはここ数年、米アップルのiPhone/iPadや、米グーグルのAndroidにクライアントOSのシェアを奪われてきた。法人向けクライアントの分野では依然としてWindowsのシェアが大きいが、一般消費者としてiPhone/iPadやAndroid端末の利便性を知った従業員は、業務でも同様の利用体験を得たいと思うようになっている。業務用端末に関する従業員の発言権は以前に比べてはるかに増しており、それがBYOD(私物デバイス利用)解禁などの動きにもつながっている。

 そこで、マイクロソフトはWindows 8でスマートフォン/タブレット端末に適した新たなユーザーインタフェースを導入した。企業・組織に嫌われる変更のリスクを取ってでも、個人ユーザーを獲得することを狙っているのだ。これに成功すれば、法人ユーザーもWindows 8へ移行するだろうというのがマイクロソフトの狙いだ。

モバイル端末開発への技術支援が課題

Windows 8対応のスマートフォン/タブレット端末で魅力的な製品は出てくるのか。

 個人ユーザーに受け入れてもらうには、端末製品の出来栄えは重要なポイントだ。短期的に見れば、マイクロソフトは周到に電機メーカーとの協業を進めており、新製品にも期待できそうだ。韓国サムスン電子(関連記事)や米ヒューレット・パッカード(関連記事)、レノボ(関連記事)などが有力なWindows 8搭載端末を発表しており、出だしは順調だ。