写真1●ガートナーのソンダーガード氏
写真1●ガートナーのソンダーガード氏
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 ガートナー ジャパンは2012年10月3~5日にかけて開催中のカンファレンスイベント「Gartner Symposium/ITxpo 2012」においてメディア向け説明会を開き、ITの展望や今後数年内に企業に影響を与える技術のリスト「戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」などについて解説した。

 最初に登壇したのは、米ガートナー シニア バイス プレジデント(リサーチ部門最高責任者)のピーター・ソンダーガード氏(写真1)。同氏は、「クラウド」「ソーシャル」「モバイル」「情報」という四つのITの力を結束(NEXUS)することが重要になるとした(関連記事)。これら四つの要素はそれぞれ普及のフェーズは異なるが、今後5年を掛けて広がっていくとした。

 続いて、ソンダーガード氏は「企業のIT部門が持つ予算は今後増えることはない。そして、2017年までには企業のマーケティング部門の方がIT部門よりも大きな額のIT予算を持つようになる」との見解を示した。具体的には2014年までに、CIO(最高情報責任者)は企業のIT予算の25%に対して支配力を失うだろうとした。「新しいIT投資は、研究開発部門や、製造業であれば製造部門など、IT部門以外のところで生まれるようになる」(同氏)と語った。

「Internet of Thingsはもう始まっている」

写真2●ガートナーのカーリー氏
写真2●ガートナーのカーリー氏
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写真3●2013年版の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10
写真3●2013年版の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10
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 ソンダーガード氏の講演に続いて、ガートナー リサーチ バイス プレジデント 兼 ガートナー フェローのデイヴィッド・カーリー氏が登壇し、「戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」の2013年版について解説した(写真2写真32012年版についての記事)。

 カーリー氏は特に四つ目の「Internet of Things」(IOT)について、企業は「ゆでガエル」のようになってしまってはならないと警告した。「IOTというと漠としたイメージを持つかもしれないが、目の前のビジネスとしてもう動き出している。いずれ将来は、などと思ってはならない」(同氏)という。

 同氏によると、既にインターネット接続の50%以上が、「モノ(Things)」によるものだという。同氏によるThingsの定義とは、「汎用的なコンピューティング・デバイスではなく、用途が特化した組み込み機器」のことだという。こうした動きを踏まえ、企業のCIOは「OT(Operation Technology)」と「IT(Internet Things)」の融合としてのIOTの影響を理解する必要があるとした。

 例えば、米国サンフランシスコでは、駐車場にセンサーを設置することで、空き状況を自動認識し、ドライバーを適切に空いている場所に誘導するといった試みがなされている。このほか、自動車にセンサを設置し、走行距離に応じて自動車保険の支払い料を変える走行距離連動型保険(PAYD:Pay As You Drive)もIOTの例とみなせるとした。PAYDと同様の仕組みは税金の徴収にも生かせるとする。