米Hewlett-Packard(HP)は現地時間2012年10月3日、投資家向けの年次会合を開き、同社が進めている経営再建計画の進捗状況や、業績見通しを明らかにした。Meg Whitman最高経営責任者(CEO)兼社長は、同社が5月から始めたリストラ計画は順調に進んでいるとし、2014会計年度末までに経費節減の目標額を実現すべく取り組んでいると説明。また2016年までに売上高の成長率が米国の国内総生産(GDP)と同じ水準で推移し、営業利益の伸びが売上高の伸びを上回るという見通しも明らかにした。

 その一方で同社は、2013会計年度のリストラ費用などを除いた1株当たり利益が3.40~3.60ドルになり、また再建計画の柱の一つである法人向けサービスの売上高が11%~13%減少すると予想している。こうした業績見通しがアナリスト予想に届かなかったことから、HP株は同日の米株式市場で13%下落。9年ぶりの低水準になった。

 HPは今年3月に大規模な組織再編計画を明らかにしている。パソコン事業とプリンター事業を統合して「プリンティング・パーソナルシステムグループ」を設置したほか、「法人向けサーバー/ストレージ/ネットワーキング(ESSN)」部門を「エンタープライズグループ」に改称し、これに法人向けサービスや販売部門の一部を統合した(関連記事:HP、パソコンとプリンター事業の統合を正式発表、コスト削減・業務効率化狙う)。

 5月に発表したリストラ策では、2014会計年度末までに全従業員の8%に当たる2万7000人を削減する計画を立てており、これによって抑制される経費を成長が見込めるクラウド、ビッグデータ、セキュリティの3分野に投資するとしている。

 ただ、米Wall Street Journalなどの海外メディアは「HPでは改革の成果が表れる前に、利益が減少する」と報じており、同社の業績改善に遅れが生じていることを指摘している。
 
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