写真●Brocade VDX 8770の外観
写真●Brocade VDX 8770の外観
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 ブロケード コミュニケーションズ システムズは2012年10月3日、サーバー仮想化環境におけるネットワーク設定を簡素化したスイッチ機器「Brocade VDX」のラインアップを拡充し、きょう体1台で384ポートを直接収容できるシャーシ型のハイエンド機種「Brocade VDX 8770」(写真)を発表した。10月12日に販売開始する。米国での参考価格は8万5000ドル(10GbEポート当たり833ドル)から。

 Brocade VDXシリーズ(関連記事)の特徴は、大きく二つある。一つは、複数台のスイッチを束ねて論理的に1台のスイッチとして使えること。フラットなレイヤー2ネットワークを運用できる。もう一つは、サーバー仮想化環境との親和性を高めていること。ライブマイグレーション時などに、仮想サーバーのポートにヒモ付けたネットワーク設定を追従させられる。また、サーバー仮想化ソフトの管理ツールだけでネットワーク設定が完了する。

物理サーバー384台を直接収容

 これまで提供してきた既存の3機種「Brocade VDX 6720」「同6710」「同6730」は、ラック内の物理サーバー機を直接収容しながら上位スイッチに接続する、ToR(トップ・オブ・ラック)用途のサーバーエッジスイッチである。標準的な機種であるVDX 6720の場合、高さ1Uに最大24ポート、高さ2Uに最大60ポートの10GbEを搭載する。

 これに対して新機種の「VDX 8770」は、シャーシ型のきょう体で拡張性を確保したハイエンドのスイッチ機器である。1台当たり8スロットを備えており、10GbEを最大384ポートまで搭載できる。VDX 8770を使えば、ToRスイッチを介することなく、複数ラックにある物理サーバー機群のすべてを1台のVDX 8770に直接収容するといった使い方が可能になる。

ファブリック全体で8000台の物理サーバーを収容

 VDX 8770では、既存のToRスイッチと比べて、構成可能なファブリックネットワークの規模も拡大している。これまでの機種(VDX 6720/6710/6730)では、複数台のVDXで構成するファブリック全体で、物理サーバーなら1000台(10GbE×1000ポート)までの動作を保証し、仮想サーバー台数は3万2000台(MACアドレス数)まで利用できていた。

 一方、新機種のVDX 8770では、ファブリック全体で、これまでの8倍となる8000台の物理サーバー(10GbE×8000ポート)の動作を保証する。仮想サーバー台数も38万4000台まで拡張した。この背景には、クラウド事業者などが「以前よりも広大でフラットなレイヤー2ネットワークを必要としている」(同社)という状況がある。

 VDX 8770ではさらに、ファブリックを構成する要素技術として、レイヤー2のマルチパス(TRILLベースのECMP)に加えて、新たにVRRPを拡張したVRRP-Eによるレイヤー3でのマルチパスを可能にしている。