写真●核融合科学研究所で稼働した日立製作所製スパコンの外観
写真●核融合科学研究所で稼働した日立製作所製スパコンの外観
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 日立製作所は2012年10月1日、国立研究機関である核融合科学研究所(岐阜県土岐市)に新型のスーパーコンピュータ「プラズマシミュレータシステム」(写真)を納入し、同日から稼働を開始したと発表した。核融合科学研究所が10月20日に開催するオープンキャンパスで同機を一般公開する。

 核融合科学研究所は、海水中に含まれるリチウムと重水素をエネルギー源とする「核融合発電」実現を目指した研究のために、スパコンを活用する。

 日立が納入したのは、科学技術計算分野向けスーパーテクニカルサーバー「SR16000モデルM1」。1ノード当たりの理論演算性能は980.48GFLOPS(ギガフロップス=浮動小数点演算を1秒間に10億回実行する能力)。322ノードを組み合わせて稼働させるため、システム全体の総合理論演算性能は315TFLOPS(テラフロップス、1秒間に1兆回実行する能力)に上る。

 これは、核融合科学研究所が利用していた従来機に比べて約4倍の性能に当たる。今回の性能向上で、核融合科学研究所は、複雑な核融合プラズマの挙動解析を、より大規模かつ短期間に行うことが可能になる。

 新スパコンは、2012年6月時点で日本に設置されているものの中で7番目の論理演算性能に相当する。理化学研究所(神戸市)の「京」(富士通製、関連記事)や、気象庁の数値予報システム(日立製)などに次ぐ性能に当たる。日立の落札額は約54億円(従来機も含めた2015年3月までの6年契約の総額)。

[日立製作所の発表資料]