写真1●新建屋の概観
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写真2●オフィスの様子
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写真3●屋上の太陽光パネル
写真3●屋上の太陽光パネル
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写真4●快適ecoモニター
写真4●快適ecoモニター
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写真5●デジタルサイネージ
写真5●デジタルサイネージ
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 日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 横浜事業所(横浜市戸塚区)では、ecoをテーマに、ビッグデータ活用の実証実験を行っている。“実験室”となるのが、2012年6月に竣工した新建屋である(写真1)。事務所棟だけで東京ドーム1個分の面積に相当する4万7706平方メートルの延床面積を持ち、在勤人員数は3500人に上る。日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 開発統括本部長 兼 事業統括本部 事業主管の阿部淳氏は「これまで横浜、川崎市内の3拠点に散らばっていたソフトウエア開発部隊を統合し、開発力と事業運営効率を高めたい」と抱負を話す。

 横浜事業所の新建屋で進める“快適ecoプロジェクト”は、オフィスの空調をうまくコントロールし、社員の業務効率とeco(消費電力削減)のバランスを図る取り組みだ(写真2)。消費電力を削減しながら、業務効率を高めることを目指す。その実現に向け、設備・センサー情報、外部情報、社員(ヒト)の三つのチャネルから得られる大量のデータを分析して活用する。

 新建屋には様々なセンサーが張り巡らされており、そこから室温・湿度・外気温や消費電力といった情報を得る。屋上全体には2130枚の太陽光パネルが設置してあり、その発電量も管理している(写真3)。外部情報には、気象情報や災害情報、電力情報などがある。

 快適ecoプロジェクトの特徴は、社員(ヒト)から得られる情報も加えて情報分析を行い、空調に生かすことだ。「現在のあなたの服装は」といったアンケートシステムを通じた回答や、座席ナビシステムから得られる社員の位置情報などを集め、設備・センサー情報や外部情報と一緒に分析している。「人、IT、設備を連動し、エネルギーをセーブするための仕組みを作りたかった」(企画本部 担当本部長の三木良雄氏)。電力使用量の実績/予測、活動効率の実績/予測などのモニタリング情報は「快適ecoモニター」で社員にフィードバックしている(写真4)。

 新建屋では、オフィスにデジタルサイネージを設置し、社員へ情報提供する。普段は、業務情報やニュース、天気予報や食堂メニューなどを表示。社員は日々サイネージを見る習慣が付いてきているという。ここに快適ecoモニターも表示することで、社員のecoマインドの醸成に役立てていく方針だ(写真5)。

 快適ecoモニターのシステムは同社のハード/ソフトで構築されており、分析マイスターがデータ分析を担う。中心となる製品は、同社のビッグデータ活用技術「Field to Future Technology」だ。2012年3月に発表したField to Future Technologyは、データの可視化/仮想化/並列化/抽象化の4分野で製品の充実を図るコンセプト。快適ecoモニターでは、データベースとしてHiRDBに加え、Hitachi Advanced Data Binderを採用。データ処理は、Cosminexusのアプリケーションサーバーや、時系列分析ソフトを利用する。