写真●東芝が2012年10月から出荷する新型HDD「ハイブリッドドライブ」。外観は従来の2.5型HDDと同じ
写真●東芝が2012年10月から出荷する新型HDD「ハイブリッドドライブ」。外観は従来の2.5型HDDと同じ
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 東芝は2012年9月25日、半導体メモリー(NAND型フラッシュメモリー)と磁気ハードディスクを組み合わせた新型ハードディスク駆動装置(HDD)の「ハイブリッドドライブ」(写真)を製品化したと発表した。同日からサンプル出荷を開始し、10月から量産品の出荷を始める。原則として一般販売はせず、パソコンやストレージ製品、ハードディスクレコーダーなどのメーカー向けに販売する。2013年度に年間300万台の販売を目標とする。

 ハイブリッドドライブは2.5型のHDDで、記憶容量は1テラバイト(MQ01ABD100H)と750ギガバイト(MQ01ABD075H)の2機種がある。磁気ハードディスクと、8ギガバイトのNAND型フラッシュメモリーを併用してデータの読み書きを行う。独自の「自己学習型キャッシングアルゴリズム」を内蔵しており、高頻度でアクセスされるデータは読み書きが速いNAND型フラッシュメモリー部分に配置する仕組みになっている。

 サイズや接続インターフェースは従来の2.5型HDDと同じであるため、既存の2.5型HDDをそのまま置き換えて処理性能を上げられる。東芝製の従来型HDDに比べて、パソコンのアプリケーションソフト起動時間は4割程度短縮できるという。

 価格は非公表だが、半導体メモリーだけで構成されるSSDよりは大幅に安く、磁気ディスクだけで構成される従来型HDDよりはやや高めになる。テラバイト単位の記憶容量が必要な用途で、性能とコストを両立させるための有力な選択肢になり得る。

 東芝は、従来型HDDと半導体メモリーの両方で一定の市場シェアを持つが、韓国サムスン電子(関連記事)など競合の攻勢が激しくなっている。両方の技術を併せ持つ強みを生かしたハイブリッドドライブの投入で、記憶装置市場全体におけるシェアの維持・拡大を狙う。

[東芝の発表資料]