千葉・幕張メッセで2012年9月21日に開催されたゲームビジネス関係者向けの「TGSフォーラム2012」では、「新しいゲームの形とは? ネットワーク時代のゲームビジネス新事情」と題したトークセッションが行われた。

左からセガ 第三CS研究開発部 プロデュースセクション プロデューサーの酒井智史氏、ガンホー・オンライン・エンターテイメント 執行役員 第1企画開発部 パズドラスタジオ プロデューサーの山本大介氏、グラスホッパー・マニファクチュア ディレクターの飯田和敏氏
[画像のクリックで拡大表示]

 セガ 第三CS研究開発部 プロデュースセクション プロデューサーの酒井智史氏は、同社の「ファンタシースターオンライン2(PSO2)」について紹介。2000年にドリームキャスト向けにスタートしたファンタシースターシリーズでオンライン版やポータブル版を手がけるなかで、月額課金モデルやDLC(ダウンロードコンテンツ)ビジネスの限界を感じたという。

 韓国産や中国産のオンラインゲームが台頭するなかで「基本プレー無料」が中心になり、パッケージや月額でビジネスになるのは一握りのタイトルのみだと酒井氏は述べる。

 PSO2も基本プレー無料にしつつ、どのような課金コンテンツを展開するのか。クエストやエネミーなどゲームの本質にかかわる部分に課金せず、キャラクターの容姿や武器の強化などより深く楽しむための部分に課金要素を取り入れたという。無料ユーザーは課金ユーザーの予備軍であり、遊びの上では同等。無料ユーザーがたくさんいることで全体の滞留時間が向上し、課金ユーザーにとってもゲームの遊び甲斐が増えるため双方が楽しめると語った。

 ガンホー・オンライン・エンターテイメント 執行役員 第1企画開発部 パズドラスタジオ プロデューサーの山本大介氏は、オンラインゲームやソーシャルゲームの運営に重要なことは「北風と太陽」の「太陽」だと語る。「オンラインゲームやソーシャルゲームの場合、基本無料でも翌月20~30%程度のユーザーが残っていればいいとよく聞くが、聞くが、面白いゲームを作って課金ハードルを作らなければ8割、9割残すことができる。太陽になって『ポカポカ運営』をするのが重要」と自信を見せる。

 無課金でもずっと楽しめるように運営することが大切。ゲームプレーそのものではなくそのほかの部分で課金することで、長くプレーするうちにそのうち課金してもらえるという考え方だ。

 そのほかに、ゲーム内のコミュニケーション機能を充実せずにTwitterやFacebookなどに任せてしまうことや、サーバー障害などを起こした場合は有料コンテンツを配布するなどして正直にお詫びすることなどの重要性について説いた。