2011年のデータ復旧サービス業界の統計
2011年のデータ復旧サービス業界の統計
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データ復旧の業界団体である日本データ復旧協会(ホームページ)は、2011年統計のデータ復旧協会の市場規模を発表した。

 それによると同年1月~12月における業界全体のHDDの復旧依頼件数は、パソコンの販売台数(稼働台数)の増加に加え、東日本大震災の影響により7万8000台となり、前年の6万8000台に比べて大幅に増加した。復旧件数は5万8500台と、前年の5万4400台に対して約4000台の増加に留まったと推定した。これは、東日本大震災により被災した案件の復旧率が通常に比較して低かったためであり、津波などによる泥水・汚水に浸かったメディアのデータ復旧が困難であることを示しているという。このため、復旧率は、通常であれば80%のところ、震災品の復旧率が低かったことを加味し75%に低下したと推定した。

 2012年のマーケットの展望については、BCP(事業継続化計画)意識が高まる一方で、大規模サーバーの事故に見られるように、バックアップを適切に取ることの難しさや設備充実の資金的問題、適切に稼動させるための人的資源の問題も浮上し、そのような観点からもデータ復旧事業の重要性が今後益々増していくと見る。

 課題には「スマートフォンやタブレット端末の普及」を挙げた。これらの端末のデータ復旧技術は未だ確立されていないという。現在、タブレット端末やスマートフォンのデータ復旧を行っている会社はあるが、データが暗号化されているために復旧できないといった技術的な困難さが存在しており、今後の研究開発が必要な分野という。