写真1●「大槌みらい新聞」創刊号の1面
写真1●「大槌みらい新聞」創刊号の1面
写真2●NewsLabおおつちのメンバー。元茨城新聞記者の松本裕樹氏や学生インターンら
写真2●NewsLabおおつちのメンバー。元茨城新聞記者の松本裕樹氏や学生インターンらが大槌町のボランティア宿泊所で制作している
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写真3●「大槌みらい新聞」創刊号の町民カレンダー
写真3●「大槌みらい新聞」創刊号の町民カレンダー

 Newslabおおつちは2012年9月15日、「大槌みらい新聞」創刊号(写真1)を発行した。約5000部を印刷、岩手県大槌町の町民などに配布する。NewslabおおつちのWebサイトでPDFファイルでも配布している。

 Newslabおおつちは、ジャーナリスト教育を行っている団体「日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)」と、ボランティア情報をネットで集約・発信しているNPO法人 ボランティアインフォが行っているプロジェクト。被災地である岩手県大槌町の小学校跡にあるボランティア宿泊所「大槌きらりベース」の一角を拠点に、元茨城新聞記者の松本裕樹氏やJCEJの学生インターンら(写真2)がFacebookWebサイトブログなどのソーシャルメディア、そして紙で、大槌の情報を発信している(関連記事:被災地の情報をWeb・ソーシャル・紙で発信する「NewsLabおおつち」が始動)。

 創刊号では、大槌町出身の民謡歌手である臼澤みさきさんの紹介、定置網漁の再開、大槌町の住宅再建の進捗を検証する記事などを掲載。カレンダーの1日1日に町民の顔写真が写るイベント情報コーナー「町民カレンダー」(写真3)もある。NewsLabのスタッフが仮設住宅などに配り歩く。町民には無料配布する。

 情報を発信するだけでなく、町民が自ら情報発信できるような仕組み作りにも取り組んでいる。町民を対象にした写真講習会を開催したり、町民にカメラを貸与して記事を書いてもらいFacebookに掲載、情報発信の楽しさを知ってもらったりする取り組みだ。すでに多くの町民レポーターによる記事がNewsLabおおつちのFacebookページに掲載されている。「大槌みらい新聞」の創刊号にも町民レポーターによる記事が掲載されている。

 夏休みが終了し、学生インターンの多くは東京などに帰郷する。日本ジャーナリスト教育センター 代表運営委員 藤代裕之氏は「学生インターンから町民レポーターにバトンタッチしていきたい」と期待する。

 悩みは活動資金と活動場所だ。活動資金は三菱商事復興支援財団の復興支援助成金の支援を得、クラウドファンディングサイト「READYFOR?」でこれまでに164人からあわせて191万円の支援を得た。しかし新聞の発行による収入はほとんどなく、長期に継続して発行していくためには資金が課題になる。また活動拠点であるボランティア宿泊所「大槌きらりベース」が9月末で閉鎖となる。そのため、新しい活動拠点となる場所を探している。