写真1●RIPE NCCが公開しているIPv4アドレスの在庫状況のグラフ
写真1●RIPE NCCが公開しているIPv4アドレスの在庫状況のグラフ
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写真2●インテック 先端技術研究所が提供しているIPv4枯渇時計(18日12時時点)<br>日付が赤字になっている「APNIC」と「RIPE NCC」は既に枯渇していることを示している。
写真2●インテック 先端技術研究所が提供しているIPv4枯渇時計(18日12時時点)<br>日付が赤字になっている「APNIC」と「RIPE NCC」は既に枯渇していることを示している。
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 ヨーロッパ・中東・中央アジア地域のIPアドレスを管理する地域インターネットレジストリー(RIR)の一つである「RIPE NCC」は2012年9月14日(現地時間)、同組織が管理しているIPv4グローバルアドレス在庫のうち、残された最後の「/8ブロック」(IPv4アドレス約1670万個分)を使ったLIR(ローカルインターネットレジストリー)への割り振りを開始したことを発表した。17日には、詳細な在庫状況を表すグラフ(写真1)も公開している。

 RIPE NCCの配下にある各LIRは今後、あらかじめ決められたポリシーに基づき「/22」(IPv4アドレス1024個分)サイズのアドレス割り振りを1回に限って受けられる。より多くのIPv4アドレスが必要な正当性があったとしても/22ブロック1個分の割り振りしか受けられない。割り振りを受けるためには、「上流のLIRやRIPE NCCからIPv6アドレスの割り振りを既に受けていること」(つまりIPv6移行の準備を始めていること)が条件となる。

 IPv4アドレスの枯渇問題については、インターネットのアドレス資源を管理している大もとの組織(RIPE NCCの上位組織)である「IANA」(Internet Assigned Numbers Authority)の中央在庫が2011年2月3日をもって枯渇している(関連記事:IPv4アドレス中央在庫がついに枯渇、ただし「これは通過点」)。

 その約2カ月後の2011年4月15日には、日本を含むアジア太平洋地域のIPv4アドレスを管理しているRIR「APNIC」(Asia Pacific Network Information Centre)が持つIPv4アドレスも自由在庫が尽きている(関連記事:アジア太平洋地域のIPv4アドレス自由在庫がついに枯渇、国内の通常割り振りも終了)。

2013年半ばには北米の自由在庫も枯渇

 今回、RIPE NCCの自由在庫が枯渇したことにより、残りのIPv4アドレス自由在庫は「AfriNIC」(アフリカ地域)、「ARIN」(北米地域)、「LACNIC」(中南米地域)の3RIRが管理しているアドレス範囲を残すのみとなった。

 IPv4アドレスの枯渇状況(予測を含む)をリアルタイムに確認できるサービス「IPv4枯渇時計」(写真2)によれば、18日現在、AfriNICの枯渇予想日は「2019年11月12日」、同ARINが「2013年8月27日」、同LACNICが「2015年5月28日」となっており、世界全体での完全枯渇まではまだかなりの日数的余裕があるように見える。

 しかし、主要な先進国が含まれるAPNIC、ARIN、RIPE NCCに限って見れば、最後に残されているARINの枯渇予想日(2013年8月27日)まであと1年もない状況である。在庫が枯渇してもすぐにインターネットが使えなくなるといったことにはならないが、IPアドレスを大量に必要とする新規サービスの提供が難しくなるなど企業活動に様々な影響が出ることは必至。企業ユーザーにとって、IPv4からIPv6への移行を本格的に迫られる時期がいよいよ迫ってきたといえそうだ。