写真●4インチ版Retinaディスプレイを搭載したAppleの「iPhone 5」
写真●4インチ版Retinaディスプレイを搭載したAppleの「iPhone 5」
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 米Appleは現地時間2012年9月12日、「iPhone」スマートフォンの新モデル「iPhone 5」(写真)を発表した。4インチの「Retina」ディスプレイを搭載し、従来よりやや縦長になった。第4世代(4G)と呼ばれる高速通信技術LTEをサポートし、米国や日本を含む9カ国/地域で9月21日に発売する。

 iPhone 5は厚さが7.6mm、重量が112gで、現行モデル「iPhone 4S」と比べ18%薄く、20%軽量化した。ディスプレイ(解像度は1136×640ドット)は従来の3.5インチより大型化したが、幅が変わらないため「片手で持って操作するのに扱いやすい」という。

 OSには次期モバイルプラットフォーム「iOS 6」を搭載する。iOS 6は200以上の新機能を追加し、見下ろしの3D表示が可能な独自地図アプリケーション「Maps」、強化した音声アシスタント機能「Siri」、チケットやクーポンをまとめて管理する「Passbook」などが利用できるほか、SNSサイト「Facebook」との統合を図っている。

 独自設計の「A6」プロセッサにより、CPUとグラフィックス性能が従来(iPhone 4Sが搭載するA5プロセッサ)より2倍向上し、アプリケーションの起動やWebページの読み込み、メール添付ファイルのダウンロードなど、iPhone 5で行うあらゆることが高速化されるとしている。

 800万画素の「iSight」カメラは、従来比で25%小型化した。サファイヤクリスタルで保護したレンズは一般的なガラスレンズより傷つきにくく薄いため、よりクリアな画像を撮影できる。ゆっくり水平移動させて手軽にパノラマ写真が撮れるほか、ビデオ撮影では手ぶれ補正機能を強化し、最大10人の顔を認識する機能やビデオ撮影しながら静止画を撮れる機能が加わった。また、フロントカメラとして720p HD対応の「FaceTime」ビデオチャット用カメラも搭載している。

 外部接続用のコネクターは、従来の30ピン「Dock」コネクターに代わり、小型の「Lightning」コネクターを採用する。DockコネクターとLightningコネクターをつなぐアダプターもアクセサリー製品として用意する。オーディオ機能の強化として、マイクを3つ搭載し、新たなノイズ除去技術を導入した。新設計のイヤホン「EarPods」が付属する。

 無線通信は、LTEネットワークのほかHSPA+、DC-HSDPAなどの規格をサポートする。無線LAN(Wi-Fi)機能はIEEE802.11a/b/g/n規格に対応。IEEE802.11nでは2.4GHz帯および5GHz帯のデュアルバンドをサポートし、最大150Mビット/秒の通信を実現する。

 カラーバリエーションは、ホワイト(背面はシルバー)とブラック(背面はスレート)の2色を用意する。米国での希望小売価格(通信事業者と2年契約した場合の価格)は、16Gバイトモデルが199ドル、32Gバイトモデルが299ドル、64Gバイトモデルが399ドルとなっている。

 米国では、米AT&T、米Sprint、米Verizon Wirelessの3社のネットワークで利用可能。日本では従来同様、KDDIとソフトバンクモバイルの2社が提供する。米国、日本、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、香港、シンガポール、英国の9カ国で9月21日より出荷する。予約受付は9月14日から。なお、既存デバイスへのiOS 6アップグレードは9月19日から可能になる。

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