BCNは2012年9月11日、2012年夏における、大手家電量販店のPOSデータの分析結果を発表した。2012年7月~8月に行われたロンドンオリンピックに向けて、薄型テレビやデジタルレコーダーの需要が伸びると期待されていたが、実際には効果はほとんど見られなかった。
同社の調査によれば、薄型テレビの販売台数(前年同月比)は、2012年6月が19.4%、同7月が16.1%、同8月が同47.3%と、前年度の半分以下の水準。前年の2011年7月に地上デジタル放送への切り替えがあり、その前後では販売台数が伸びたが、2012年はその水準に遠く及ばなかった。また、BD/DVD/HDDレコーダーも、2012年6月が前年比で31.2%、同7月が25%、同8月が62.1%と、テレビよりは縮小幅が小さいものの、やはり販売台数は大きく落ちている。BCNの道越一郎アナリストは「ロンドン五輪の効果は、地デジやエコポイント需要の反動による落ち込みの中に埋没してしまった」と総括した。
一方、パソコンの販売台数は、2012年6月が107.4%、同7月が99.9%、同8月が98.1%と、前年並みの販売台数を確保した。ただし、堅調だったノートパソコンに対して、デスクトップパソコンは販売台数が15~25%程度落ちた。これは、米インテルの「第3世代Core iシリーズ」(開発コード:Ivy Bridge)の販売が遅れたため、デスクトップパソコンの新製品がそれほど登場しなかったことが原因とみられる。
インテルが提唱する薄型ノートパソコンのUltrabookは、富士通やソニーなどの国内メーカーが製品を投入したことによって、パソコン全体に占める構成比が4.7%(2012年8月)まで上昇。平均単価も2012年5月~8月の間では上昇傾向にある。
同社では、2012年10月26日に一般向けに発売されるWindows 8についても分析を加えた。Windows Vistaが発売された2007年1月は、その前にWindows XPパソコンの販売台数が増える“駆け込み需要”があった。一方、2009年10月はその前に販売台数が伸び悩む“買い控え”の傾向があった。Windows 7パソコンの販売台数は8月第2週から下落傾向にある。同社の森英二アナリストは「9月第一週までのデータしかないので不確実だが、どちらかと言えば買い控えの傾向ではないか」と分析した。
なお、スマートフォンは、次期iPhoneの発売を控えて、KDDI(au)とソフトバンクモバイルの両者が2012年7月、8月でシェアを落とし、8月にはNTTドコモの販売台数シェアが60%を超えた。