写真●事業戦略説明会で話す日本IBMのマーティン・イェッター代表取締役社長
写真●事業戦略説明会で話す日本IBMのマーティン・イェッター代表取締役社長
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 日本IBMは2012年9月11日、東京都内のホテルで事業戦略説明会を開いた。5月に就任したばかりのマーティン・イェッター代表取締役社長(写真関連記事)は、「日本における『エンタープライズ』の範囲を広げて、地方の中堅・中小企業を新たなお客様としてカバーしたい」と話し、中堅・中小の顧客企業を軸とした事業成長に強い意欲を示した。

 具体的な施策として、7月に東北地区(仙台市)、中部地区(名古屋市)、関西地区(大阪市)、西日本地区(福岡市)の4カ所に本格的な営業拠点を開設したことを説明。イェッター社長は、「首都圏以外の地方拠点で、中堅・中小の新しい顧客を積極的に獲得したい」と話した。

 報道陣からは地方の事業機会や収益性に関する質問が出た。これに対し、IBMのドイツ法人の責任者を務めた経験があるイェッター社長は、「日本のIT市場は米国に次ぐ世界2番目のマーケット。ドイツ、フランス、中国の市場を合わせた程度の規模がある。日本の首都圏以外の地区には、フランス一国に相当するマーケットがある。しかも、地方の中堅・中小企業にはグローバル化の意欲が強い企業が多く、我々にとって大きなビジネスチャンスがある」と説明した。

 政府や地方自治体のシステム調達に関する質問に対して、イェッター社長は「共通番号制度(マイナンバー)システムのような大きなシステムは1社だけで作れるものではない。私自身がドイツのIBMに勤務していたとき、地元企業とコンソーシアムを組んで公共システムの刷新に携わったことがある」と説明。日本企業や地方のITベンダーと組みながら、官公庁の情報システム構築案件の受注を目指す方針を示した。