米IDCが現地時間2012年9月10日に公表したIT支出調査によると、2012年の世界のIT支出額は6%成長のペースで推移している。前年の7%成長に比べ若干鈍化しているものの、マクロ経済の不透明感が続く中、堅調に伸びているという。

 ソフトウエア、ストレージ、法人向けネットワーク、モバイルデバイスの市場が好調で、パソコンやサーバー、周辺機器、通信事業者向け機器といった不振な分野を補っている。こうした傾向からIDCは、通信サービスも含めたICT(情報通信技術)全体の2012年の支出額は5%成長の3兆6000億ドルに達すると予測している。また2013年のIT支出額は6%成長の2兆1000億ドル、ICT支出額は5%成長の3兆8000億ドルとなる見通し。

 IDCテクノロジー産業調査部門のStephen Minton副社長によると、今年前半、タブレット端末やスマートフォン、ストレージ容量、ネットワークパフォーマンスの向上といった分野への需要が予想を上回った。また景気が低迷している地域ではコスト削減を図るためソフトウエアへの支出を増やしている。

 地域別に見ると、米国のIT支出額は5.9%成長のペースで推移しており、これは前年の8.5%を下回っている。第4四半期に市場投入されるWindows 8が2013年の米国パソコン市場回復につながるとIDCは見ている。欧州では景気低迷の影響で西欧が振るわないが、北欧ではソフトウエアが伸びている。日本では回復の勢いが若干弱まっており2012年は2%成長にとどまる見通し。

 これに対し新興国市場は比較的好調に推移している。インド、ブラジルの成長率はともに14%、ロシアは11%、南アフリカは8%とIDCは予測する。一方、中国の成長率は現在のところ14%という水準で、前年実績の25%を下回っている。これは輸出が滞ったことで製造業の支出の伸びが鈍化していることが原因。とりわけ今年前半の同国におけるパソコン支出の伸びは7%と、前年の19%を大きく下回っている。

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