職場全体に広がっている感情、ムード、空気感といった「組織感情」はサービス業が最も良好で、情報通信業、製造業は相対的に悪い――。このような調査結果を組織改革や人材育成支援などを手がけるジェイフィールが2012年9月6日に明らかにした。

 同社は明治大学大学院教授の野田稔氏が設立し、『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(講談社)などの著作で知られる高橋克徳氏が代表を務める人材コンサルティング会社。ミドルマネジャーの内省を促すリフレクション・ラウンドテーブルなどの組織変革プログラムを提供している(関連記事)。
 
 今回まとめた調査結果は同社が2009年9月から2012年3月にかけて実施してきた、1273職場、1万9884人へのアンケートを分析したもの。同調査では、「イキイキ感情(高揚感、主体感、連帯感)」「あたたか感情(安心感、支え合い感、認め合い感)」「ギスギス感情(緊張感、苛立ち感、不信感)」「冷え冷え感情(不安感、沈滞感、あきらめ感)」の4種類の感情について、そう感じられているかどうかを「自分」と「周囲(職場)」に分けて質問した。

 自分についての回答結果を「自分感情」、周囲についての回答結果を「組織感情」として定義しており、組織感情について、「イキイキ感情」「あたたか感情」の肯定率が「ギスギス感情」「冷え冷え感情」の肯定率を大きく上回れば「超ご機嫌な職場」、大きく下回れば「超不機嫌な職場」というように、風土を6段階に分類している。

 こうした分類を業種別に調べたところ、「情報通信業や製造業はサービス業に比べて、相対的に組織感情が悪い傾向にあるという結果が出た」(同社、図1)という。これについて同社では「情報通信業や製造業などでは、役割が細分化され、目の前の仕事、担当の仕事に閉じこもる傾向が強く、周囲との十分な対話、連携が不足している企業が多い。こうした働き方が、周囲への否定感や批判的な感情を強めているのではないか」と推測している。

図1●業種別に見た組織感情(ジェイフィール調べ)
図1●業種別に見た組織感情(ジェイフィール調べ)

 このほか全業種の「自分感情」データを世代別で見ると、「20代が最も良く、30代は落ち込み、40代、50代になるにつれて回復する」という傾向が出た(図2)。

図2●世代別の4感情および効力感(ジェイフィール調べ)
図2●世代別の4感情および効力感(ジェイフィール調べ)

 また、全業種の「自分感情」データを役職別で見ると、「管理職は周りから必要とされていると感じていて前向きな気持ちが相対的に強く、一般社員の方が『今後のキャリアへの不安』『お互いに踏み込まない』『目立たない方が楽だ』など引きこもりがちな感情が強い」などの傾向が判明したという(図3)。

図3●管理職・一般社員別の自分感情(ジェイフィール調べ)
図3●管理職・一般社員別の自分感情(ジェイフィール調べ)

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