全日本空輸(ANA)と日本ユニシスは2012年9月3日、空港ラウンジ内限定の新しいデジタルコンテンツ配信サービス「ANA LOUNGE Digital Service」(写真1)を始めると発表した。まず9月10日から、伊丹空港のラウンジでサービスを始める。2013年3月末までに羽田空港と成田空港のラウンジ(国内線・国際線)でもサービスを始め、その後、順次他の空港にも広げる計画だ。
新サービスでは、週刊東洋経済など23誌を無料で配信する。一部制限付きながら、ラウンジ内に持ち込んだパソコンやタブレット端末などに電子雑誌をダウンロードし、ラウンジを出た後に機内や到着地で読むこともできる。
ANAは新サービスを売りに、LCC(格安航空会社)など競合他社に対する差異化を図る。ANAの福田哲郎執行役員CS&プロダクト・サービス室長(写真2)は、「ラウンジに置ける雑誌の種類には限りがある。電子雑誌を用意することで、ANAを指名してくれるお客様を増やしたい」と話した。航空会社としては、同様のサービスの提供は世界初だという。
日本ユニシスの場所限定配信技術を採用
新サービスは日本ユニシスの「LoMeS(ロメス、Location-based Media Service)」と呼ぶ場所限定のデジタルコンテンツ配信技術を採用した。ANAは第1号ユーザーになる。コンテンツ自体はクラウド環境のサーバーに保管し、インターネット経由で配信するが、配信可能な場所や条件などをLoMeSのサーバーできめ細かく制御する仕組みだ。日本ユニシスは今後、空港ラウンジ以外のイベント空間や公共スペースなどに対しても、同技術を売り込みたい考え。
9月3日には、羽田空港国際線ターミナル内のANAラウンジで報道関係者向けの説明会が開かれた(写真3、4)。新サービスは、対象ラウンジ内の無線LAN環境を通じて提供される。乗客が持ち込んだパソコン、スマートフォン/タブレット端末や、ラウンジで貸し出すiPadなどで利用できる。