東京工業大学でエヌビディアが開催した「CUDA サマーキャンプ 2012」の様子。参加者42名で、北海道や広島から参加した人もいた
東京工業大学でエヌビディアが開催した「CUDA サマーキャンプ 2012」の様子。参加者42名で、北海道や広島から参加した人もいた
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CUDAについて講義した、東京工業大学学術国際情報センターの青木尊之教授
CUDAについて講義した、東京工業大学学術国際情報センターの青木尊之教授
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特任助教の下川辺隆史氏が解説した「GPUコンピューティングの最先端研究紹介」の一部。内容は昨年とほぼ同様。研究内容そのものだけでなく、GPU演算ではノード間の通信にかかる時間が無視できないとし、CPUも併用して演算することで通信時間を見かけ上なくす技法なども紹介した
特任助教の下川辺隆史氏が解説した「GPUコンピューティングの最先端研究紹介」の一部。内容は昨年とほぼ同様。研究内容そのものだけでなく、GPU演算ではノード間の通信にかかる時間が無視できないとし、CPUも併用して演算することで通信時間を見かけ上なくす技法なども紹介した
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 エヌビディアは2012年8月30日、同社の数値演算用開発環境「CUDA」のプログラミング講座「CUDA サマーキャンプ 2012」を開催した。高校生を対象にした講座で、講師は東京工業大学学術国際情報センターの青木尊之教授と、特任助教の下川辺隆史氏。参加者は同大学にあるスーパーコンピューター「TSUBAME 2.0」を使ってCUDAの演習をした。

 この講座は、エヌビディアが毎年8月末に開催しており、今年で4回目。51名の応募があり、42名が参加した。講座の冒頭ではエヌビディア日本代表のスティーブ・ファーニー・ハウ氏がCUDAについての取り組みを紹介し「CUDAは不可能を可能にする技術。この参加者の中から、将来CUDAで世界を変えるようなものを作る人が現れることを期待している」とコメント。続いて青木教授と下川辺氏が、「GPUコンピューティングの最先端研究紹介」として、気体と液体が激しく入り混じる流れのシミュレーションや気象計算、樹枝状凝固成長計算について解説した。

 昨年までの参加者は、CUDAの実行環境を備えたクライアントPCでプログラミング実習をしていたが、今回は会場を東京工業大学とし、TSUBAME 2.0にログインしてプログラムを実行した。TSUBAME 2.0は4224個のNVIDIA製GPU(Graphics Processing Unit)と2816個のIntel製CPUを搭載したスーパーコンピューター。この講座を開催した時点で世界第14位の演算性能を持っている。参加者は、TSUBAME 2.0を利用する環境を整えたあと、波動や拡散といった物理現象のシミュレーションにCUDAによる並列演算を適用するなどのプログラミングに取り組んだ。

 今回、TSUBAME 2.0での実習する形にしたのは「実際に研究をしている場で大学院生と同じようにスーパーコンピューターを使う機会を、高校生にも与えたかった」(青木教授)ため。スーパーコンピューターは性能ランキング内での位置付けが話題になりがちだが、「ベンチマークだけでなくその演算能力でどんな研究成果が得られたかが重要であり、成果を見せることが社会貢献にもつながる」(同氏)。今回のCUDA講座のように、若い人に最先端のコンピューターを触れさせることも、そうした社会貢献の一環であるとした。