セイコーエプソンとエプソン販売は2012年8月29日、個人向けインクジェットプリンター/複合機の新製品10機種を発表した(新製品の詳細)。クラウドサービスやスマートフォンへの対応機能を強化。スキャンした画像を別のプリンターに送信して印刷したり、プリンターから直接クラウドサービスに画像をアップロードしたりする機能を搭載した。さらに上位機種はデザインを一新し、小型化を図った。2012年9月20日に発売する。
新製品発表会で壇上に立ったエプソン販売の平野精一社長は、「スマートフォンの伸長は著しい。さらに、スマートフォンの伸張はクラウドが支えている」と説明。スマートフォンの利用者の7割程度が印刷の必要性を感じているといった数値を紹介しながら、スマートフォンとクラウドを「今後のプリンターの進化のキー」とした。
新製品も、これらへの対応を強化した。2011年から提供しているクラウド対応の印刷サービス「Epson Connect」の機能を拡充。スキャンした原稿をクラウドサービスに直接アップロードする「スキャンtoクラウド」、スキャンした原稿を別の場所にある同社プリンターに送信して印刷できる「メールdeリモート印刷」、遠隔地にあるプリンターにパソコンからデータを送って印刷できる「リモートプリントドライバー」を新たに用意した。スマートフォン向けアプリ「Epson iPrint」も機能強化。同一の無線LAN環境外からでもインターネット経由で印刷できる、無線LANルーターがない環境でもプリンターとパソコンなどを直接接続できる、といった新機能を盛り込んだ。
こうした機能を用意することで、「新しいプリントスタイルを提案したい」(エプソン販売 取締役 販売推進本部長 中野修義氏)。“昔の写真を整理しながらスキャンしてクラウドサービスにアップロードし、電車の中で確認する”、“子どもが描いた絵をスキャンして祖父母宅にあるプリンターに送信して印刷。絵を高画質な形で見てもらう”など、さまざまな活用方法をアピールした。ただ現状で、Epson iPrintのダウンロード数は「プリンター購入者の10%程度」(平野氏)にとどまっている。スマートフォンやアプリのメーカーなどにEpson iPrintのエンジンの搭載を提案するなど、よりユーザーへの認知度を高める工夫をしていくという。
小型化にも力を入れた。顧客調査を実施したところ、プリンターの大きさ、特に設置面積を気にしていることが分かったという。そこで「製品の奥行きや幅について、用紙の大きさを超える部分のサイズを徹底的に削減した。例えば用紙の反転経路や、前面からの給紙経路、背面の手差し経路などを徹底的に見直して再設計した」(セイコーエプソン 業務執行役員 プリンター事業部長 奥村資紀氏)。「EP-905A」など上位機種については、従来機種と比較して体積を約40%削減した。
目標は、市場シェア50%の獲得。新製品を含めたインクジェットプリンター全体で、今後1年間に約275万台の販売を目指すという。