図1 ロボットカメラ本体と蓄電池部
図1 ロボットカメラ本体と蓄電池部
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図2 ビル屋上の概観
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 日本放送協会(NHK)は2012年8月29日、災害現場など電源供給が途絶えた状況においても太陽光と風力のハイブリッド発電によって動作に必要な電力を確保することができる可搬型・全天候型の放送用ロボットカメラを開発したと発表した(図1)。

 従来の風車と比較して約2.5倍の発電量を得られる高効率な「レンズ付き風車」(九州大学と共同で開発)を採用した。「風車の小型・軽量化とともに1kWクラス(風速11m/s時)の発電量を実現した」という。電源部には大容量の蓄電池を装備し、天候の影響などで太陽光や風力による発電が困難となった場合でも約3日間の動作を行うことができるようにした。

 蓄電池の残量が少なくなった場合には、必要最小限の機器だけを動作させる省エネモードを備える。省エネモードでは、ロボットカメラ映像を本体のメモリーに蓄積し、リモート制御によってメモリーから必要な部分だけを取り出して伝送できる。さらに放送用の無線中継伝送装置(FPU)や携帯電話の高速データ通信、通信衛星を利用した映像伝送装置など、複数の伝送手段に対応させた。これにより災害現場などからでもロボットカメラ映像をより確実に伝送できるようにした。

 NHKは宮城県亘理町のビル屋上に本装置を設置し、8月29日から運用を開始した(図2)。「今後1年程度をかけて、ハイブリッド発電や蓄電池の状態などのさまざまな運用データを収集・解析し、今後のロボットカメラや非常用電源装置の整備に反映していく予定」としている。

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