写真1●日本IBMのメインフレーム新製品「zEnterprise EC12」
写真1●日本IBMのメインフレーム新製品「zEnterprise EC12」
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写真2●IBMのメインフレーム製品の変遷
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 日本IBMは2012年8月29日、2010年に発売したメインフレーム「zEnterprise」の2世代目に当たる製品「zEnterprise EC12(zEC12)」を発表した(写真1)。新規開発した5.5GHz動作のプロセッサを採用することで、1台当たりの最大命令処理数を50%、同じ消費電力で処理できる性能を65%それぞれ高めたという。

 9月20日に出荷を始め、まず年内に15~20台、1年間で20~25台を販売する計画。既存ユーザーの置き換え需要を取り込むほか、他社メインフレームからの乗り換え、zEnterprise上で動作する「z/Linux」によるサーバー集約の用途を見込む。ハードウエア単体での価格は最小構成(6プロセッサ)で1億円前後。

 今回、zEC12向けに新規開発したプロセッサは、32nmルールのSOIプロセスで製造したもの。従来品と比べ、コア数は4コアから6コアに、動作周波数は5.2GHzから5.5GHzに高めた(写真2)。このほか、L3キャッシュおよびL4キャッシュの容量を2倍にしたこと、共有メモリーの排他制御をハードウエアが担う機能「ハードウエア・トランザクショナル・メモリー」を実装したことで、Javaアプリケーションなど実アプリでの処理性能を高めたという。

 I/O性能を高めるため、フラッシュSSDを搭載したカードをPCIeインタフェースで拡張できる機能「Flash Express」を新たに採用した。DRAMより安価かつ省電力で、HDDより高速にアクセスできる「ストレージクラスメモリー」として利用できる。

 運用向けの機能としては、90日分の履歴(ログ)を蓄積して傾向を分析し、問題の兆候を捉えて管理者にメッセージを発信する機能「zAware」を新たに備えた。運用コストの削減につながるという。

 zEC12内部の冷却方式は水冷で、循環した水は筐体内のラジエターで冷やす。チラー経由で外部から冷却水を送る方式もオプションで選択できる。PCサーバーやUNIXサーバーを登載した拡張ユニット「BladeCenter Extension」を4台接続できる点、ネティーザのDWHアプライアンスと接続してデータ分析ができる点は前機種と同じである。