写真1●Webブラウザ上で直接PDF表示が可能になった「Firefox 15」 ただし、現状は隠し機能という扱いになっている。
写真1●Webブラウザ上で直接PDF表示が可能になった「Firefox 15」 ただし、現状は隠し機能という扱いになっている。
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写真2●PDFビューアを有効化するための設定 「pdfjs.disabled」を「false」に設定して立ち上げ直せばよい。
写真2●PDFビューアを有効化するための設定 「pdfjs.disabled」を「false」に設定して立ち上げ直せばよい。
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 米Mozilla Foundationは8月28日(現地時間)、オープンソースで開発を進めているWebブラウザー「Firefox」とメーラー「Thunderbird」の最新バージョン「Firefox 15」および「Thunderbird 15」を正式リリースした。

 Firefox 15では、メモリー管理を改善したことや隠し機能としてPDFビューアを内蔵したこと(写真1)、開発者向けにJavaScriptデバッガを追加したことなどが目玉となっている。また、パソコン版に加え、Android版アプリも同時に公開しており、そちらではタブレット最適化版の提供や標準ブラウザーからのブックマークインポート機能の追加や近接および光センサーのサポートなどが実施されている。

 パソコン版Firefox 15の目玉となるメモリー管理の改善では、特定のアドオンを利用した際に、タブを閉じてもメモリーが解放されないという問題に対処した。これにより、長時間利用し続けた際にメモリー使用量が増加し続けるという問題を解消できたという。

 Mozillaによれば、例えばWebサイトの安全性をチェックする「SiteAdvisor」プラグイン(バージョン3.4.1)を使っている場合、151タブでWebページを開いている状態と150タブを閉じた後の状態を比較すると、Firefox 14に比べてFirefox 15ではタブを閉じた後で使用しているメモリー量が1/5まで減少するとしている。

内蔵PDFビューアはまだ不安定

 内蔵するPDFビューアについては、「まだ完全ではなく実験的なもの」(Mozilla)という扱いになっており、標準では無効化されている。有効化するには、アドレス入力欄に「about:config」と入力して設定画面を呼び出し、「pdfjs.disabled」という項目をダブルクリックして値を「false」に変更する(写真2)。その後Firefoxを立ち上げ直せば、PDFファイルへのURLリンクをクリックした際にFirefoxで直接表示できるようになる(写真1参照)。

 ただし、記者が実際に試してみたところ、Mozillaが説明している通りPDFファイルが正しく表示できないケースが多々あった。現状ではまだとても実用的とは言えず、Firefox 16以降のバージョンで同機能の完成度が高まるまでは外部のPDFビューアを利用した方が良さそうだ。設定を元に戻すには、上記pdfjs.disabledの値を「true」に戻して立ち上げ直せばよい。

 メーラーのThunderbird 15では、「チャット」機能を搭載したことが目玉となっている。対応しているサービス/プロトコルは、Facebook Chat、Google Talk、IRC(Internet Relay Chat)、Twitter、XMPP(Extensible Messaging and Presence Protocol)の5種類。あらかじめアカウントを登録しておけば、チャット画面をタブとして開いてすぐにメッセージをやりとりできる。

 その他、Web検索機能の利用時にオンライン行動履歴の追跡拒否機能である「Do Not Track」(追跡拒否)を設定できるようになったことや、巨大なファイルを添付ファイルとする代わりにオンラインストレージにアップロードしてメールではリンクのみを通知する「Filelink機能」の対象サービス追加(Ubuntu Oneを追加)、メニューやツールバーのデザイン刷新といった機能追加や改善が施されている。