NTTドコモが2012年8月28日に開いた新製品発表会(関連記事)に登壇した丸山誠治プロダクト部長は、韓国サムスン電子が米アップルの一部特許を侵害したとする米連邦地裁の8月24日の陪審評決について、「日本では特に影響ない」との見解を述べた。

 NTTドコモは自らも多くの特許を保有しており、「発明者の権利を保護すべきというのが基本スタンス。端末は各メーカーと共同で開発しており、権利の侵害がないかどうかを(ドコモとメーカーの双方で)分担して事前にチェックしている」(丸山部長)という。さらに知的財産権に対する考え方や争点は地域ごとに異なるため、「同じアップルとサムスンの間の訴訟でも国によって結果がバラバラになっても不思議ではない。日本における訴訟がどうなるかが問題」とした。

 米国では意匠権(デザイン)侵害なども問題となっているが、日本におけるアップルとサムスンの争点は二つ。一つが、バウンシング特許(画面スクロールで端にたどり着いた際にバウンド表示する機能。バウンススクロール特許などとも言われる)。もう一つが、端末とパソコンの間でコンテンツを同期するために使う付属ソフトに関する訴訟である。「米国と同じグローバル端末がベースでも、ドコモの要望に基づいてかなりカスタマイズしており、侵害に当たらないように実装している」(丸山部長)と主張する。

 後者に関しては8月31日に東京地裁で判決が出るが、前者は来年以降の見通し。8月31日の判決を受けてただちに販売差し止めになることはないとしている。それでも米国の評決を受けてブランドイメージ低下などが懸念されるが、「アップルとサムスンの訴訟は世界各国で行われている。今後の動きを注視しながら、顧客にも事実関係をきちんと説明して理解してもらえるように努めていく」(丸山部長)とした。

 サムスン電子ジャパンの幹部は「世界各国の動きを見ていると、必ずしもアップル有利とは限らず、五分五分の状況。もはや(損害賠償の)金額の問題ではなく、プライドをかけた戦い」としている。