写真●HP LoadRunner 11.5の画面(Mobile TruClient)
写真●HP LoadRunner 11.5の画面(Mobile TruClient)
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 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2012年8月28日、負荷テストツールの新版「HP LoadRunner 11.5」(写真)を発表した。新版では、モバイル端末を使ったクライアント環境を、より正確に模倣できるようにした。9月1日に販売開始する。参考価格(税別)は、50仮想ユーザーで1125万6000円から。

 業務システムに対してアクセス負荷をかけて、レスポンス(応答時間)やサーバー負荷を監視するためのソフトである。クライアントの振る舞い(リクエストなど)をシナリオとして用意し、あたかも大量のユーザーが実在するかのようにクライアントアクセス(仮想ユーザー)をソフトウエア的に発生させる仕組み。同時アクセス数を段階的に増やしながら応答時間を計測することで、システムのボトルネックを発見できる。

 クライアントアクセスの内容は、テストスクリプトとして記録/編集する。Webアクセス(HTTP)やC/S(クライアント・サーバー)アプリケーションなど、各種システムのリクエストや振る舞いをスクリプト化できる。今回の新版では、モバイルアプリケーションの振る舞いを模倣するスクリプトを作成するための二つの機能「Mobile TruClient」「Mobile Applications」を追加した。

モバイル端末のアクセスを模倣

 Mobile TruClientは、モバイルWebブラウザーの振る舞いを詳細に模倣したスクリプトを生成する機能である。発行するHTTPリクエストだけでなく、Webブラウザーの画面切り替えにかかる時間やボタン操作にかかる時間なども模倣する。道具立てとして、モバイル端末の模倣用に用意された専用のFireFoxを使って操作を記録する。あらかじめプリセットされている端末情報(デバイス、UserAgent、ディスプレイサイズ)を選択して使う。

 一方のMobile Applicationsは、任意のモバイルアプリケーションが発生させるリクエストを記録して模倣する機能である。モバイル端末のエミュレーターを利用してサーバーとの通信を発生させ、これを記録する。リクエストの内容は、ネットワークのトラフィック情報から収集したり、専用のプロキシソフト(中継ソフト)を使って収集できる。

 新版ではまた、スクリプトを実行してサーバーに負荷をかけるソフト「LoadRunner Virtual Users」を機能強化し、モバイル環境のネットワーク回線を模倣できるようにした。データ転送帯域を制御する「回線速度シミュレーション」と、パケットロスなどのエラーを発生させる「回線品質シミュレーション」である。