ニフティは2012年8月28日、IaaS型パブリッククラウドサービス「ニフティクラウド」のサービスを拡充し、主にDR(災害復旧)対策向けとして西日本地域に新規開設するデータセンターを仮想サーバー配置先として選べるようにする地域選択機能や、仮想プライベートクラウドを実現するための機能などを追加することを発表した。「ユーザー企業が業務システムにクラウドを利用しやすくするためのサービス拡充」(ニフティ)だという。提供開始は9月19日を予定している。

 具体的には、(1)仮想サーバーの設置場所や方式を選べる「リージョン/ゾーン選択可能化」、(2)ニフティクラウド上にプライベートLANを構築し、ユーザー企業のLANとVPN接続可能にする「セキュアネットワーク」、(3)仮想サーバーにインストール可能なOSとしてRed Hat Enterprise Linux(RHEL)をサブスクリプション契約込みで選択可能にする「サブスクリプション付きRHEL」、(4)ロードバランサー機能の利用可能な帯域上限を拡張する「ロードバランサープラン拡張」---という4種類の機能追加や機能強化を実施する。

仮想サーバー配置先を地域とゾーンで指定可能に

写真●管理用画面(ダッシュボード)からリージョンを指定できる
写真●管理用画面(ダッシュボード)からリージョンを指定できる
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 (1)のリージョン選択可能化は、仮想サーバーを追加する際に、設置先となるデータセンターの地域(リージョン)を東日本と西日本から選択できるようにするというもの。リージョンの選択は、ユーザーがダッシュボード(管理用画面)から指定できる(写真)。

 加えて、リージョン内に物理的に異なるシステムを「ゾーン」として用意し、サーバー配置時にゾーンを選択できるようにするゾーン選択可能化機能も併せて提供する。ゾーンは東日本リージョンに二つ、西日本リージョンに一つ(今後二つ目も追加予定)用意しており、ユーザーはリージョンとゾーンを自由に組み合わせてサーバーを配置できる。リージョン/ゾーン選択可能化機能の利用料金は無料となっている。

 ニフティによれば、このリージョン/ゾーン選択可能化機能は「既存のニフティクラウドユーザーから特に要望が多かった機能」(同社)だといい、企業内の業務システムでの利用拡大を狙った今回のサービス拡充における目玉機能と位置付けている。

図●セキュアネットワーク機能の利用イメージ<br>ユーザーの社内LANとサブネット分割されたニフティクラウド上の仮想プライベートLANをIPsec VPN経由で接続できる。
図●セキュアネットワーク機能の利用イメージ
ユーザーの社内LANとサブネット分割されたニフティクラウド上の仮想プライベートLANをIPsec VPN経由で接続できる。
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 (2)のセキュアネットワーク機能は、ニフティクラウド上にサブネット分割可能なプライベートクラウド(LAN)環境を構築し、ユーザー企業の社内LANとの間をVPN接続できるようにするというもの()。ユーザー企業内のオンプレミス環境とニフティクラウドを組み合わせた「ハイブリッドクラウド」を構築する目的で利用できる。

 サブネット分割はCIDR(Classless Inter-Domain Routing)方式を採用する。すなわち、ユーザーに割り当てられたプライベートIPアドレス(192.168.0.0/24など)の範囲に対して任意のプレフィックス長を指定してサブネットに分割し利用できる。VPN接続はIPsec方式を利用する。料金は、基本料金(1プライベートLANごと)が「月額1万500円」でVPN接続料金が「1時間当たり10.5円」の従量課金制となっている。サブネット設定料金は無料である。