パナソニックは2012年8月27日、照明光が人の「知的生産性」や「サーカディアンリズム(生体リズム)」に及ぼす影響に関する研究成果を発表した。詳細は、パナソニックと共同研究している九州大学大学院の安河内朗教授が、9月6日~8日に開催される「平成24年度(第45回)照明学会全国大会」において、9月8日に発表する予定である。

 この研究結果によると、オフィスなどで照明を強制的に消すなどの過度な節電を実施した状況では、人間の「知的生産性」や「サーカディアンリズム」に悪影響を与えるという。

 具体的には九州大学が10人の被験者に対して、単に暗くするだけの「節電照明(明るさ400ルクス)」の場所で作業してもらう実験を行った。この結果、作業能率が下がってエラー(ミス)が増加したり、日中の覚醒度が低下する(眠気をもよおす)といった現象が見られた()。夜間の睡眠に影響を与える指標の数値も悪かった。

図●パナソニック・九州大学による実験結果<br>照明が作業能率に影響するという結果が得られた。
図●パナソニック・九州大学による実験結果
照明が作業能率に影響するという結果が得られた。
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 その一方で、「従来照明(JIS推奨の明るさ750ルクス)」「省エネ調光・調色照明(ルクス数は落とすが、作業に最適な照度・色調を維持する照明)」の環境下でも実験を行った。そうしたところ、「省エネ調光・調色」の環境下では、「従来照明」と同等の日中覚醒度と作業能率が維持されていることが分かった。さらに、夜間に体温が低下しやすくなる(寝付きやすくなる)ため、夜の睡眠にも好影響を及ぼすことが分かった。

 パナソニックは「過度の節電照明では、職場が陰鬱な雰囲気になるだけではなく、知的生産性の低下やサーカディアンリズムへの影響も危惧される。光をうまく制御すれば、省エネしながら知的生産性を維持することも可能になる」と説明している。

[パナソニックの発表資料]