米Appleと韓国Samsung Electronicsの間で争われているモバイル関連の特許侵害訴訟において、Appleに有利な判決が下ったと複数の米メディア(New York TimesWall Street JournalBloombergInfoWorldなど)が一斉に報じた。それによると、米カリフォルニア州サンノゼの連邦地方裁判所は現地時間2012年8月24日、Samsungによる特許侵害行為を認め、同社に10億5000万ドルの損害賠償支払いを命じた。

 9人の陪審員が3日間にわたって評議し、Samsung製品がAppleの6件の特許を侵害していたと判断した。問題の特許には最後までスクロールすると跳ね上がる設計、タップして拡大する技術、スマートフォンの外観に関するものが含まれ、その多くが「意図的な侵害」だったと陪審は見ているという。Appleは7件の特許を侵害されたと主張していたが、タブレット端末のデザインに関する特許についての侵害は無いとされた。

 Appleは2011年4月に、Samsungの製品が「iPhone」や「iPad」関連のデザイン特許、登録商標を侵害したとして提訴。Samsungの28製品を対象として、約25億ドルから27億ドルの損害賠償を求めていた。一方Samsungも5件の特許がAppleに侵害されたとして約4億ドルの損害賠償を要求していたが、AppleによるSamsung特許の侵害はいっさい認められなかった。

 AppleとSamsungは裁判開始前の2012年4月に連邦地裁判事によって裁判外紛争処理(ADR)を促されて和解協議を行ったが合意に至らず、今回の陪審評議の前にも両社最高経営責任者(CEO)間の電話会議で係争解決に向けて協議すると報じられていた(関連記事:AppleとSamsungの両CEOが電話会議、和解の道探る---海外メディア報道)が、結果が出なかった。

 Samsungは陪審の判断について「Appleの勝利などではなく、米国消費者にとって損失だ」とコメント。判決を不服として上訴するとみられている。一方AppleはSamsung製品に対する販売差止命令を求める意向を示しているという。

 Apple関連の情報サイト「9to5Mac」によると、AppleのCEOを務めるTim Cook氏は社内メモで「Samsungに当社製品の模倣をやめるよう繰り返し要求したが(Samsungが応じなかったため)非常に不本意ながら法的措置をとることを選んだ」と説明。「今回の裁決は、特許や金銭以上に重要な意味がある」と述べた。