写真1●新しいソーシャル分析サービスについて説明するカレンソリューション事業部サービス開発室の加藤広道室長
写真1●新しいソーシャル分析サービスについて説明するカレンソリューション事業部サービス開発室の加藤広道室長
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写真2●「iPhone」に関するTwitter投稿数を分析した例。黄色の折れ線グラフがフィルター無しの場合で、青色がフィルター有りの場合。黄色では急増しているように見えるが、実は「ボット」によるつぶやきが大量に混じっている
写真2●「iPhone」に関するTwitter投稿数を分析した例。黄色の折れ線グラフがフィルター無しの場合で、青色がフィルター有りの場合。黄色では急増しているように見えるが、実は「ボット」によるつぶやきが大量に混じっている
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 マーケティング支援事業のカレンは2012年8月24日、ソーシャルメディアへの投稿をマーケティングに活用するためのソーシャル・リスニングツール「Social Navigator Marketing Edition」の提供を開始した。東京大学の「知の構造化センター」から解析技術「純粋傾聴エンジンSNipeR(スナイパー)」の供与を受けている。SNipeRを使うことで、分析に値する顧客の声を厳密に判定し、意味のある情報を得やすくしたのが特徴だ。

 ソリューション事業部サービス開発室の加藤広道室長(写真1)は、「ソーシャルメディアを活用したマーケティングでは、口コミの絶対量に目が行きがちだ。量的な分析だけではマーケティングの現場ではうまく活用できず、場合によっては誤った判断をしてしまう可能性すらある」と説明した。

 Twitterなどの書き込みを「生活者の声」として取得・分析し、業務に活用しようと考える企業は多い(関連記事1関連記事2)。しかしカレンが、ある企業の特定ブランドに関するツイートを取得して分類したところ、全体の55%が社員や販売店による「身内の声」で、20%はTwitterの書き込みをインターネット上のプログラムが自動投稿する「ボットの声」だった。つまり、本当の意味での「生活者の声」は残りの25%にすぎない。

 この25%を抽出して、意味のある生活者の声を拾うために「純粋傾聴エンジンSNipeR」を使う。SNipeRはつぶやきの文脈から「今日から新商品Aの販売を始めました」といった「身内の声」「ボットの声」である可能性の高いつぶやきを自動判定する機能を持つ。これらはフィルターにより分析対象から除外する(写真2)。

購入者と非購入者を自動判定

 次に、大量のつぶやきのテキストデータをSNipeRエンジンに取り込む。この時に500~1000件程度のサンプルについて、人間の目で見たうえで「新商品Aを購入していない顧客である」「新商品Aを購入した顧客である」「新商品Aについてポジティブな意見」「新商品Aについてネガティブな意見」といったフラグを立てる。こうして、人間の判断を反映したコーパス(自然言語処理のためにテキストを構造化して集積した電子辞書)が出来上がる。

 最初にコーパスを構築しておけば、その後はつぶやきの内容を自動判定し、グラフ化して表示できる。特にカレンが重視しているのが、つぶやきが購入者によるものか非購入者によるものかという判定。同じネガティブなつぶやきでも、非購入者が論評しているだけの場合と、購入者が実際に使ったうえで怒っている場合では、対応の優先度が違ってくるからだ。

 「ポジティブ/ネガティブ」「購入者/非購入者」の自動判定は標準機能として提供する。このほかに「購入意欲が高い/低い」「競合製品への関心が高い/低い」といった任意の判断項目もオプションとして追加できる。