写真1●HP t410 Smart Zero Clientの外観(液晶ディスプレイ装置の背面に設置)
写真1●HP t410 Smart Zero Clientの外観(液晶ディスプレイ装置の背面に設置)
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写真2●HP Velocityのデモンストレーション画像
写真2●HP Velocityのデモンストレーション画像
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 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2012年8月23日、シンクライアント機器の新機種として、同社では最も小型となる「HP t410 Smart Zero Client」(写真1)を発表、同日販売を開始した。なお、同機種は、パケットロスを補完する同社製ソフトを搭載する最初の機種となる。

 手のひら大と小型なシンクライアント(画面情報端末)機器である。同社のほかの小型モデルと同様にVESA規格に準拠し、液晶ディスプレイの背面に設置できる。サイズは幅14.8×奥行18.5×高さ3.2cm、重さは0.63kgで、同社製シンクライアント機器の中では最も小型となる。

 2012年7月に販売を開始した既存の上位機種「HP t410 All-in-One Smart Zero Client」と同様に、ICAやRDPなどの画面情報端末プロトコルをハードウエア(DSPのTMS320DM8148)で処理する。CPUはARM Cortex-A8を使う。消費電力はアイドル時に9.865W。

 搭載する画面情報端末機能に応じて2モデルを用意した。(1)Citrix ICA(HDX対応)、RDP(RemoteFX対応)、VMware View(RDP)を搭載した下位モデル「2GF/1GR」(税込価格は2万6040円)と、(2)下位モデルに加えてVMware View(PCoIP)を搭載した上位モデル「2GF/1GR RFX/HDX」(税込価格は3万1290円)である。

パケットロス環境の通信状況をパリティデータで改善

 同機種は、同社が開発した通信最適化ソフト「HP Velocity」を搭載する最初の機種である。同ソフトはC/S(クライアント/サーバー)型で動作するTCP/IPパケット制御ソフトであり、電波回線などのようにパケットロス率が高い環境において、効率的にパケットを転送できるようにする。具体的には、RAID 5のように、パケットを分割してパリティデータのパケットを付けて送信する。

 製品発表会では、HP Velocityの効果をデモンストレーションして見せた。パケットロス率を2%と高く設定したエミュレーション環境で動画を再生し、途中からHP Velocityの機能をオンにして見せた。カクカクしていた動画が滑らかに再生されることを示し、計測データのグラフが変化することを示した(写真2)。

 なお、HP Velocityの通信相手となるHP Velocityのサーバーソフトは、Windows XP以降またはWindows Server 2003以降で動作する。同社のWebサイトから無償でダウンロードできる。