図1 NOTTVの概要
図1 NOTTVの概要
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図2 開発システムの構成
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 NTTデータとNTTデータMSEは2012年8月21日、mmbiのスマートフォン向け放送局「NOTTV」の蓄積型放送システムに、独自のIPデータキャスト技術を提供したと発表した。放送波上で大容量ファイルの複数同時伝送を「世界で初めて実現した」という。

 NOTTVのサービスは、リアルタイム視聴とシフトタイム視聴の二つの視聴形態による動画提供と、各種デジタルコンテンツの提供で構成される。このうち、シフトタイム視聴と各種デジタルコンテンツを提供する手段がIPデータキャストである(図1)。

 NTTデータらは、「IPデータキャスト送出サーバー」と「IPデータキャスト受信エンジン」を開発した(図2)。放送波にIPパケットを乗せて一斉同報的なデータ送信(放送)、および端末での受信を行う。最大4Gバイトの大容量ファイルの複数セッションでの同時送信と、端末での受信を行うことができる。契約者が放送波で完全に受信できなかったコンテンツについては、欠損部分のみを端末から取得する仕組みもある。

 IPデータキャスト送出サーバーは、映像・音声・電子書籍・地図・ゲームなどのコンテンツからISDB-Tmmに準拠したパケット(FLUTE/FEC)を生成し、これをIPパケットに載せた上で放送波に乗るデータに変換して送出する。

 IPデータキャスト受信エンジンは、放送波で送出されたコンテンツ(メタデータも含む)を受信し、契約者が視聴できる形に復元する。

 さらに、コンテンツに関わるさまざまな情報(メタデータ)を生成、管理し、契約者が検索する仕組みを提供する。メタデータはISDB-Tmm準拠の圧縮されたXMLメタデータ形式(BiM)に変換して契約者の端末に届ける。このほか、視聴契約者情報に基づきコンテンツを保護する仕組みや、契約者を管理する仕組みを提供する。

 NTTデータとNTTデータMSEはこのプロジェクトで確立した技術・ノウハウをベースに、新たなマルチメディアサービス市場に積極的に取り組む。具体的な分野として「地上アナログテレビ跡地である帯域(V-High/V-Low帯域)への適用」「セカンドスクリーンなどの次世代放送サービスへの拡張/展開」「LTE-eMBMSなどの次世代通信規格への拡張/展開」を挙げる。

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