写真1●エプソン販売が2012年9月20日に発売するビジネスインクジェット複合機「PX-675F」。操作ボタンは前面のタッチパネルにまとめられている
写真1●エプソン販売が2012年9月20日に発売するビジネスインクジェット複合機「PX-675F」。操作ボタンは前面のタッチパネルにまとめられている
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写真2●「PX-675F」で印刷しているところ。1枚目は15秒で印刷でき、少量ではレーザープリンターの同等機以上の高速印刷が可能
写真2●「PX-675F」で印刷しているところ。1枚目は15秒で印刷でき、少量ではレーザープリンターの同等機以上の高速印刷が可能
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写真3●新製品について説明するエプソン販売OP MD部の鈴村文徳部長
写真3●新製品について説明するエプソン販売OP MD部の鈴村文徳部長
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 セイコーエプソンとエプソン販売は2012年8月21日、小規模企業・事務所向けのA4サイズビジネスインクジェットプリンターの新モデル9機種を発表した。カラー6機種は9月20日に、モノクロ3機種は11月初旬に発売する。

 フラグシップモデルであるカラー複合機「PX-675F」(写真1、予想市場価格は3万円台後半)では、従来のインクジェットプリンターでよく使われてきた「染料インク」ではなく、にじみにくくビジネス用途で扱いやすい「顔料インク」を全色で採用した。さらに、紙に高速でインクを噴射しても乾燥が速い「超浸透インク」による印刷性能もアピールする。

 PX-675Fのカラー印刷速度は毎分約9.5枚(9.5ipm)で、エプソンの既存カラーレーザープリンター製品(毎分24~30枚)に近づいている。特に1枚目の印刷速度では、レーザープリンターと遜色のないレベルまで高速化した(写真2)。

 レーザープリンターと比べて、インクジェットプリンターはランニングコストが圧倒的に安いというメリットがある。例えば、インクジェットの新モデルと同グレードの既存レーザープリンターを比較すると、3万枚分を印刷するための本体と消耗品を含めた総コストは、レーザープリンターの約2分の1になるという。インクジェットは電力効率も良く、消費電力量はレーザープリンターのわずか1~2割で済む。

 エプソン販売OP MD部の鈴村文徳部長(写真3)は、マーケティング戦略について独自の市場調査の結果を示しながらこう説明した。「お客様はプリンター購入時にランニングコストの安さを重視するが、インクジェットはランニングコストが相対的に高くつくというイメージを持たれている。新製品の販促では、ランニングコストの安さをこれまで以上にアピールしていく」。

レーザープリンターは大量印刷で依然優位

 一方で、レーザープリンターからインクジェットへの置き換えを進めるわけではないという。エプソン販売の中野修義取締役販売推進本部長は「インクジェットは少量多品種印刷が多いオフィスに適している。連続印刷速度などはレーザープリンターがまだ上で、月間1万5000枚を超えるような大量の印刷物があるオフィスでは、レーザープリンターの方が適している」と説明し、両者では対象市場が異なることを強調した。

 エプソンはこれまで、インクジェットプリンターとレーザープリンターの販促は別々に実施していた。新モデルの販促キャンペーンでは、カタログを「ビジネスプリンター総合カタログ」という1冊にまとめ、両者を横並びで比較しながら顧客に購買検討してもらえるようにする。