図●RAD Studio XE3では「Metropolis UIへの変換」という機能が追加された
図●RAD Studio XE3では「Metropolis UIへの変換」という機能が追加された
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 エンバカデロ・テクノロジーズは今秋、開発ツール製品の新バージョン「RAD Studio XE3」を投入する。正式な発表は9月4日の見込みで、パッケージングや価格などの詳細はそこで明らかにするが、主要な新機能について説明を開始した。

 RAD Studio XE3は、2011年9月に発売したRAD Studio XE2の後継バージョンで、Delphi言語とC++によるソフトウエア開発を行える。XE3の最大の目玉は、米Microsoftが10月に一般向けに発売するWindows 8への対応だ。XE3はWindows 8上で稼働し、Windows 8用のアプリケーションを作れるようになる。

 これまでVCL(Visual Component Library)またはFireMonkeyを使ってGUI(Graphical User Interface)を持つアプリケーションを開発していたのであれば、そのフォーム(画面)を右クリックし、「Metropolis UIへ変換」という項目を選ぶだけで、Windows 8のMetroスタイル“風”の画面(「Metropolis UI」と呼ぶ)に変えられる(図)。ただし、これはMicrosoftが「Metroアプリケーション」と呼ぶものとは異なり、Windows RT(ARM版windows)では動かず、Windows Storeでの配布はできない。一方で、Windows Vista/7などで動き、従来通りの手法で配布できるメリットもある。本当のMetroアプリケーションを作る方法としては、XE3に含まれる「Prism」のDelphi言語で開発する方法を提供する。

 XE2の目玉は、FireMonkeyと呼ばれるGUI部品群で、Windows、Mac OS Xの両方で動くアプリケーションを作れることだった。この機能は開発者の支持を受けたようで、XE3で重点的に機能強化が行われた。FireMonkeyは「FireMonkey "FM2"」と呼ばれる新バージョンになり、Mac OS X Lion、同Moutain Lionに対応した。最新のMacBook Proが持つRetinaディスプレイ(2880×1800画素)にも対応(画面がひどく小さくならない)。XE2でMacアプリケーションを作ると見た目がMacアプリケーションらしくないと感じられることがあったが、XE3ではウィンドウのタイトルバーの処理などを改良して防いだ。オーディオ、ビデオ関連のコンポーネントを追加し、全般に性能と品質を改善した。

 さらにXE3では、GUI部品をデータに結び付ける作業を容易にする「Visual LiveBindings」と呼ぶ機能を追加した。UML(Unified Modeling Language)図のような画面でバインディング(結合)を確認でき、マウスのドラッグで設定できる。

 今回のXE3では、iPhone、Android関連の新機能には目立ったものがなさそうだ。「今回はWindows 8とMac OS Xという、デスクトップ関連に注力した。モバイル関連は今後に期待してほしい」(同社)。Windows 8についてはまだ盛り込めていない機能もあり、それらは追って提供するという。