写真●音声認識システム「Vocollect Voice」を使った倉庫内作業のイメージ
写真●音声認識システム「Vocollect Voice」を使った倉庫内作業のイメージ
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 業務用食材卸大手の尾家産業は2012年4月までに、主力物流拠点である大阪支店・大阪北部センター(大阪府摂津市)で音声認識技術を使った新しい倉庫管理システムを構築した。まず入荷業務やピッキングなどに活用しており、今後、段階的に適用業務を拡大する方針だ。音声認識ソリューション「Vocollect Voice」(写真)を提供しているヴォコレクトジャパンが2012年8月20日に発表した。

 尾家産業の大阪支店・大阪北部センターでは、約1万品目の業務用食材を取り扱っており、ホテルやレストラン、医療・介護施設など1600の配送先を持つ。物流拠点では食品メーカーなどからまとめて仕入れた食材を入荷し、それを配送先別に小分けピッキングしている。

 従来は、自社開発の倉庫管理システムを利用していた。このシステムでは、ピッキング作業担当者は紙の指示書とハンディスキャナーを持ち歩き、これに従って倉庫内の棚から食材をピッキングしたり、スキャナーでバーコードを読み取る作業をしたりする。商品だけではなく、指示書やスキャナーなど様々な対象に目を配る必要があるため、作業担当者にとって負荷がかかる。

倉庫内でヘッドホンとマイクを装着

 新システムでは、作業担当者はマイク付きヘッドホンを装着して倉庫内を歩き回る。ヘッドホンに流れる音声による指示に従ってピッキング作業を行い、完了したら個数や確認番号などをマイクで話す。この音声がシステム上で自動認識され、間違いがなければ、次の指示がヘッドホンに流れる。この一連の作業を原則としてペーパーレスで行えるうえ、商品だけに集中して作業することができる。

 作業内容によって異なるものの、新システム導入によってピッキング業務の生産性が10~40%向上する効果が出たという。既に、ピッキング以外にも、入庫業務、賞味期限管理、出庫業務などで音声認識システムを活用しており、今後は棚卸し作業などさらに多くの業務に応用することを検討している。

 ヴォコレクトジャパンは、物流現場における音声による業務支援ツールの開発に特化したハードウエア/ソフトウエアベンダーである。物流倉庫内ではフォークリフトや冷蔵機器などの騒音が大きく、通常の音声認識ツールでは精度が下がりがち。ヴォコレクトは、騒音環境を自動学習する手法などを組み込んで、認識精度を上げている。

[ヴォコレクトジャパンの発表資料]