米Google傘下の米Motorola Mobilityが米Appleに特許を侵害されたとして米国際貿易委員会(ITC)に提訴した、と複数の海外メディアが現地時間2012年8月17日に報じた。米Bloombergによると、Motorola Mobilityは、Appleの「Siri」に使われている音声認識技術や、位置情報リマインダー、電子メール通知、ビデオプレーヤーなどの機能に関する7件の特許がAppleに侵害されたと主張しており、アジアで生産されている、スマートフォン「iPhone」やタブレット端末「iPad」、パソコン「Macintosh」の米国への輸入禁止を求めている。

 Motorola Mobilityは、「Appleと和解することを望んでいたが、Appleがライセンス契約による解決を望まなかったため、当社の技術革新を守るためほかに選択肢がなかった」と説明している。

 Motorola MobilityがAppleに特許を侵害されたとしてITCに訴えたのはこれで2度目。同社は2010年10月に自社の18件の特許がAppleに侵害されたとして、ITCに提訴した。これを受けAppleは、Motorola Mobilityによる不当な要求に応じられないと主張し、その一方でMotorola製スマートフォン「Droid」などがAppleの特許を侵害しているとして逆提訴した。

 このときの提訴と逆提訴については、ITCの行政法判事(ALJ)が2012年1月にMotorola Mobilityによる特許侵害は認められないとする仮決定を下し、同年4月には、AppleによるMotorola特許の侵害があったとする仮決定も下した。BloombergによるとITCは8月24日にこの第1回目の訴訟の最終判決を下す予定だ(関連記事:MotorolaによるApple特許の侵害なし、ITCが仮決定)。

 Motorola Mobilityが第1回目の訴訟で主張している特許は、W-CDMAや、GPRS、802.11といった無線通信やアンテナ設計に関するものが含まれている。これらは、公正で合理的かつ差別のない(FRAND:Fair, Reasonable, and Non-Discriminatory)条件で供与されるべき「標準必須特許」と見られており、ITCがこうした特許を使った製品に対し輸入禁止命令を出すのかが焦点になるとBloombergは伝えている。

 一方米Wall Street Journalは、今回Motorola Mobilityが提起した新たな訴訟では、標準必須特許は含まれていないと伝えている。