図●坂路調教タイム自動計測システム(ALIS)の概要(日本ユニシスの発表資料より引用)
図●坂路調教タイム自動計測システム(ALIS)の概要(日本ユニシスの発表資料より引用)
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 日本ユニシスは2012年8月15日、「坂路調教タイム自動計測システム(ALIS)」のセンサー部を新たに開発し、日本中央競馬会(JRA)に納入したと発表した。2011年12月から「美浦トレーニング・センター」(茨城県美浦村)、2012年5月から「栗東トレーニング・センター」(滋賀県栗東市)で稼働している。

 坂路(はんろ)とはウッドチップを敷き詰めた全長800メートルの上り坂コースのことで、トレーニング・センター内に設置され、競走馬の調教に使われる。ここで計測したタイムは調教師ら競馬関係者が馬の状態を把握するうえで重視されている。レース前の計測データは競馬ファンに公開されるため、馬券の予想材料に使われることも多く、高い精度が求められる。

 従来の自動計測システムは、競走馬に装着したバーコードをコースに設置した読み取り機で検出するという方式だった。読み取り機器の費用負担が大きく、濃霧や雨天時は読み取りに失敗しやすいという欠点があった。

 新方式では、各競走馬のゼッケンに無線ICタグ(シチズンTIC製)を装着。坂路内の200メートルごとにある計測ポイント(ハロン地点)にICタグ読み取り装置を設置し、競走馬の通過を検知する。天候の影響を受けにくい電波を使うことで、計測率はほぼ100%になった。

 日本ユニシスは以前からJRAの自動計測システムのソフトウエア開発を担当していた。今回のセンサー部納入で、自動計測システム全体をカバーすることになる。この実績を生かし、JRA以外の競走馬育成拠点への導入や、他分野への応用を目指す。

[日本ユニシスの発表資料]