写真1●津波で被災した旧大槌町役場。現在は町立大槌小学校の元校舎を改修した新庁舎で執務している
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写真2●被災した旧大槌町役場のサーバーなど
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 東日本大震災で被災した岩手県の野田村、普代村、大槌町の3自治体は2012年8月13日、基幹情報システムの全面刷新提案を受け付ける「自治体クラウド構築に関する提案依頼(RFP)」を公開した。住民記録や選挙、農地管理、職員ポータルなどを含む幅広い機能を備えたクラウドシステムを共同で調達・導入する方針だ。

 資格審査申し込みは8月31日までで、事務局への郵送(必着)か直接持参で受け付ける。RFP公開に先立ち、4月25日から実施した「自治体クラウド構築に関する情報提供依頼(RFI)」に参加しているか、参加した事業者とコンソーシアムを組むことが応募の条件になる。提案書の締め切りは9月14日まで。

 3自治体はいずれも太平洋に面した三陸海岸を有し、2011年3月11日の地震後の大津波で甚大な打撃を受けた。特に、大槌町では中心市街地が壊滅的な被害を受け、死者802人、行方不明者479人(2012年1月時点)という惨事になった。町役場庁舎(写真1)にも津波が到達し、職員に多数の人的被害が出たほか、コンピュータシステムが浸水・流失し、行政機能停止を余儀なくされた(写真2)。(関連記事:ホームページの復旧Rubyによる町おこしメディアによる復興支援

 このため今回導入する新システムは、前提事項として「データセンターに設置する機器において処理が完結するASP・SaaSを基本とする」と明記している。データセンターの要件は「液状化現象の可能性が小さい」「洪水や津波による被害を受ける可能性が小さい」「震度7の地震に対する耐震性を有する」などと細かく規定している。

 事務局を務める大槌町復興局情報化推進室の堀井信宏氏は、「同じクラスの地震と津波が来た場合でも、住民サービスを止めたくないという思いがある。東京からも盛岡市からも遠い場所ではあるが、積極的に応募してもらえれば」と説明する。

[大槌町復興局情報化推進室の発表資料]

■変更履歴
第3段落で「2012年3月11日の地震」としていましたが、「2011年3月11日の地震」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2012/09/06 22:45]