アクセンチュアは2012年8月3日、スマートフォンおよびタブレット端末用アプリの遠隔テストサービス「アクセンチュア・リモートテストサービス(TaaS)」の本格提供を開始すると発表した。TaaSは「Testing as a Service」の略。

写真1●アクセンチュア・リモートテストサービス(TaaS)の画面例。この画面の表記は英語だが、日本語版も用意しているという
[画像のクリックで拡大表示]

 TaaSでは、スマートフォンやタブレット機(スマートデバイス)の実機をアクセンチュアのテスト環境内に用意する。アプリの動作をテストしたいユーザーは、Webブラウザからインターネット経由でTaaSのテスト環境にアクセス。各スマートデバイス実機でアプリが動作している様子の中継動画を、パソコン画面で観察できる(写真1)。

 アクセンチュアのテスト環境では、端末が専用のクレードルに接続されており、ユーザーの指示により端末をハードウエア的に制御。アプリの動作をリアルタイムに確認できるという。音量ボタンなどのハードボタンの操作も可能。画面の動作はカメラで撮影しているものを確認する。

写真2●アクセンチュアの丹羽雅彦モビリティ サービス グループ パートナー
[画像のクリックで拡大表示]

 音声についてはマイクによる集音で確認できる。「エミュレーターとは違って端末の実機と実際の携帯通信回線を使っているので、ユーザーの実環境に近いアプリケーションの動作テストが実施できる」(アクセンチュアの丹羽雅彦モビリティ サービス グループ パートナー、写真2)。

 スクリプトを使ったテストの自動化も可能。ホームキーのプッシュ、アプリの選択と起動、メニューの選択などの操作を、あらかじめ指定したスクリプトで実行できる。画面の各要素の自動選択には、画像認識や文字認識技術を適用しているという。動作の様子は画面のスナップショットやビデオとして記録し、開発者とテスト担当者のコミュニケーションに利用できる。

 すでにNTTドコモ端末のテスト環境は用意済み。現在50機種程度揃えており、順次追加していくという。9月にも他の通信キャリアの端末環境も整える計画。「人気機種は多めに配備するなど、ユーザーを待たせないように工夫する」(丹羽氏)。

モバイル端末実機は復興支援で設置した福島拠点に

 TaaSのサービスメニューは「リモートテスト環境レンタルサービス」や「アプリテスト実行サービス」など5種類。リモートテスト環境レンタルサービスは、ユーザー自身でテスト環境を使ってテストを実行するもの。アプリテスト実行サービスは、ユーザーがテスト内容を決定し、それに基づいてアクセンチュアがテストを実行してユーザーに報告する。料金はリモートテスト環境レンタルサービスが1ID当たり月額48万円。そのほかのサービスメニューについては、個別見積もりなどサービス内容に沿った料金体系で対応する。

 TaaSが想定しているユーザーは、アプリやコンテンツの開発者、モバイルシステムや電子商取引システムを運営している企業のIT担当者、スマートデバイスとの連携機能を開発している機器メーカーなど。

 テスト環境は福島イノベーションセンター内に設立した。このセンターは、アクセンチュアが福島県会津若松市および会津大学と共同で設立したもの。福島県と会津若松市に向けた震災復興支援活動の一環として実施した。テスト環境はすでに稼働しており、NTTドコモが2012年1月からこのテスト環境を使って、コンテンツ開発者向けにリモートテストサービスを提供している。