写真1●端末で3次元画像を表示した様子
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写真2●KDDIにおける医療クラウドの今後の展開
写真2●KDDIにおける医療クラウドの今後の展開
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 KDDIは2012年8月2日、医療機関向けクラウドサービス「リアルタイム3D医用画像ソリューション」の提供を8月3日に始めると発表した。米TeraRecon(テラリコン、カリフォルニア州)の技術を使い、X線CT(コンピュータ断層撮影装置)やMRIで撮影した2次元画像をネット経由で送信すると、断面で認識しづらい体内構造の画像を3次元化して配信する(写真1)。現行の医療クラウドは画像保管サービスが中心だが、画像処理・解析の機能を提供するサービスは国内で初めてとする。

 新サービスでは、テラリコンの「3D医用画像サーバ」をKDDIのクラウド基盤上に設置。KDDIの閉域網「KDDI Wide Area Virtual Switch」経由で画像をやり取りすることでセキュリティを確保する。3次元画像の生成には頭部や腹部で300~500枚、体全体では2000枚程度の2次元画像が必要で、容量はX線CTの場合で1枚当たり0.5Mバイト。100Mビット/秒の通信回線を活用した実証実験では360枚の送信に約30秒、1500枚の送信に約150秒かかったとしており、サーバーにおける画像処理を経て「数秒~1分程度で3次元画像を閲覧できるようになる」(テラリコン)。

 料金は、10Mビット/秒の契約帯域(クラウド向けは最大100Mビット/秒まで利用可能)で接続した場合で月額約50万円から。オンプレミス型で導入した場合に比べ、1~2割程度のコスト削減を見込める(導入費+5年間の運用費で比較)という。クラウドサービスで提供する機能はオンプレミス型の「8~9割だが、大病院や専門病院でなければ特に問題にならない」(テラリコン)としている。

 KDDIは今後、医療クラウドへの取り組みを強化していく。7月からソリューション営業本部営業企画部内に「メディカルソリューション推進グループ」を新設。今回のサービスを第1弾として、PACS(医用画像管理システム)や電子カルテなどのクラウドサービスも投入する計画だ(写真2)。