写真●レッドハットの石井明マーケティング本部プロダクトマーケティングマネージャー(写真:井上裕康)
写真●レッドハットの石井明マーケティング本部プロダクトマーケティングマネージャー(写真:井上裕康)
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 レッドハットの石井明マーケティング本部プロダクトマーケティングマネージャーは2012年8月1日、「日経BP Cloud Days Tokyo 2012 SUMMER CONFERENCE(CDT2012夏)」において「レッドハットが提供するオープンハイブリッドクラウドの価値」というテーマで講演した。

 講演の冒頭で石井氏がまず紹介したのが、Linuxおよびオープンソースソフトウエア(OSS)がエンタープライズ向けのインフラソフトウエアやアプリケーション分野で今や完全に主役となりつつあるという事実である。

 同氏は、二つの分野における収益の年平均成長率がメインフレームやUNIX、Windowsといった競合プラットフォームを圧倒している状況や、商用ソフトウエアの大多数が今後何らかの形でOSS技術を採用するだろうといった調査会社による予測データを引用、「少し前まではミッションクリティカル分野だとUNIX、ミドルレンジならWindowsサーバーをといった状況だったが、今やいずれの分野でもLinuxが最も好まれる状況になっている」と力説した。

 次に石井氏は、企業システムのインフラ動向について解説した。土台として個々のサーバー機にインストールするOSがあり、その上にオンプレミスで提供されるストレージやデータベース、管理ソフト、ミドルウエアおよびアプリケーションを組み合わせる「従来型インフラ」から、IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)および仮想化されたOS(ゲストOS)、ビッグデータなどで構成される「クラウドインフラ」への移行が進行中で、現在はまさにその過渡期にあるとした。

 石井氏によれば、こうしたクラウドインフラへの移行の流れはIT分野全体に影響がおよぶほどのパラダイムシフトであり、この流れの中で自社のインフラ構築に関してどのような針路を選ぶかが、企業における今後10年間で最も重要なIT戦略の決定になるという。同氏はその決定プロセスに影響を与える重要な要素の一つとして、同社が掲げる「オープンハイブリッドクラウド」というキーワードを挙げた。

 クラウドインフラへの移行に当たり、すべてのインフラをパブリッククラウドへ移行するのは企業にとってコストや柔軟性といった面で非現実的であり、インフラの一部分だけをクラウド上に構築する手法も「下手すると管理すべきサイロが増えるだけ」という状態に陥って移行メリットが薄れる危険があると石井氏は指摘する。「企業内の既存リソースからクラウド上のリソースまであらゆるコンピュータリソースを統一的かつオープンな環境で扱えるオープンハイブリッドクラウドこそが求める答えとなる」。