写真1●2013年3月期第1四半期連結決算を発表するソフトバンク孫正義社長(写真は東証での記者会見)
写真1●2013年3月期第1四半期連結決算を発表するソフトバンク孫正義社長(写真は東証での記者会見)
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写真2●iPadの法人顧客数は7万社超
写真2●iPadの法人顧客数は7万社超
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写真3●今秋に始めるFDD方式のLTEの料金は月5985円と改めて強調
写真3●今秋に始めるFDD方式のLTEの料金は月5985円と改めて強調
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 ソフトバンクは2012年7月31日、2013年3月期第1四半期(2012年4~6月)の連結決算を発表した。売上高が前年同期比0.3%増の7669億円、営業利益が同9.3%増の1921億円と増収増益だった。営業利益は7期連続の最高益と好調。孫正義社長(写真1)は決算説明会の冒頭、「大変すがすがしい気持ち。(2016年度連結営業利益で)1兆円の目標を掲げているが、一歩一歩、確実に進んでいると実感している」として達成に自信を示した。

 説明会では、競合のNTTドコモやKDDI(au)に比べて営業利益やARPU(契約当たり月間平均収入)が一貫して伸びていることをアピール。法人市場で他社に顧客を奪われているとの一部報道に対しては、「法人スマートパッド市場で80%のシェアがある。iPadの法人顧客数は7万社超と2年で18倍に伸びている」と反論を展開した(写真2)。Google Appsの獲得ID数も累計24万を超え、「(Googleの)世界最大のパートナーはソフトバンク」と主張した。

 さらに、設備の強化に向けた取り組みも紹介した。基地局は19万局とVodafone Japan買収後の10倍、公衆無線LANの基地局(アクセスポイント)は競合他社に比べて2倍以上の27万局にそれぞれ増えたとした。

 加えて、公衆無線LANの干渉問題などを回避するための新技術を開発し、特許を出願中という。詳細な説明は避けたが、「無線LANでは基地局を増やすと電波の干渉問題がある。店外に出て受信感度が落ちても電波をつかんだままで通信が途絶えてしまうことがある。(公衆無線LANを活用したオフロードの)先駆者として体験してきたからこそ、解決策を編み出せた。特許にも出願している。着実に導入していきたい」と誇らしげに紹介した。

 説明会後半では、4月に発表済み(関連記事)にもかかわらず、FDD方式のLTEを今秋からスマートフォン向けに月5985円で提供することを改めて強調した(写真3)。iPhone向けに提供する現行パケット定額料(月4410円)に比べて差が大きいとの指摘に対し、孫社長は「(月5985円は)基本的な価格。当然、一時的に販促キャンペーンなどはあるかもしれないが、LTEは3Gに比べて高付加価値のサービス」とコメントした。

 なお、今秋にFDD方式のLTEを始めるKDDIの田中孝司社長も決算説明会で「LTEの料金は当然、3Gより安くすることはない」とコメントしている。NTTドコモのように提供エリアが広がるまでは一時的に安くすることも考えられるが、LTE浸透でパケット定額料上げが濃厚となってきた。

 ただ、LTEが高価なら3Gで十分とするユーザーも多いとみられる。電波の使用効率が高いLTEにユーザーをどう移行していくのか、今秋以降の各社の動きが注目される。