NECは2012年7月30日、米製薬大手の日本法人であるファイザーに「実消化クラウドサービス」の提供を開始したと発表した。クラウドを利用することで、膨大なデータを短時間で処理できるようにした。ファイザーは既に2012年春頃から新サービスを使い始めており、このほど本格稼働させた。

 「実消化」とは医薬品卸経由での製品販売実績を指し、製薬業における様々な活動の基礎になる重要なデータである。単なる出荷量とは異なり、より実態に近い販売量を表すため、マーケティング活動やMR(医薬情報担当者)の行動による販促成果を測るのに役立つ。業績評価や人事評価などにも活用されている。

 ただし、実消化データを集計するには複雑な処理が必要になる。具体的には、医薬品卸における医療機関・調剤薬局への販売・納入実績データを取得して、これを製薬業の社内情報システムで扱える形のデータに変換する。ファイザーはこの部分でNECのクラウドサービスを利用し、変換済みの実消化データを取得することにした。NECは、IT基盤サービス「RIACUBE」と、データ処理エンジン「InfoFrame DataBooster」を組み合わせて、400万件の明細データ処理を20分程度でこなせるサービスを提供した。

 NECは実消化クラウドサービスの料金について、処理量に応じた柔軟な課金体系を用意しており、規模が小さい製薬業でも導入しやすい。ファイザーへの初納入を皮切りに今後製薬業への提案を進め、今後3年間で20社への販売を目指す。

[NECの発表資料]