NFC(Near Field Communication)を使ったサービスの開発や利用を推進する団体「NFCラボ」は2012年7月28日、初の定例会を開催した。会合にはNFCに興味を持つ開発者など50人が集まり、情報共有・意見交換した。NFCラボは、これまで東京のほか会津や宮崎などで勉強会やハッカソンを開催してきたが、定例会合はこれが初めて。

 会合の冒頭、NFCラボ会長を務める山下哲也氏は、「NFCは、地上のあらゆるモノをネットにつなげる手段だ」と表現。例えば、「家電製品や情報機器に専用のタグを貼付し、スマートフォンをかざすことで製品サイトにアクセスできれば、製品マニュアルは不要になる」などの具体的な使い方を示したうえで、用途を広げるには個人のアイデアがカギだとし、「一人ひとりが起点となって世界を変えられる」と来場者を鼓舞した。

 またiPhoneが次期製品でNFCに対応するといううわさにも触れ、「アップルは意味のない機能はつけない。仮に次の機種で対応するなら“こんなことができるのか!”という用途が見えるパッケージで出してくるはず」と期待を示した。

 続いて登壇した個人開発者の木南英夫氏も、「アップルの対応がNFC普及の起爆剤になる」理由を具体的に解説した。同氏が解説したのはiOSの最新版「iOS 6」に搭載される新機能「Passbook」。iPhoneをクーポンや搭乗券、イベントチケットなどの代わりに利用できる機能である。これらの用途がNFCが想定しているものとほぼ重なるとし、アップルはNFCを使うだろうと予想。「早く始めた人が優位」と、開発を呼びかけた。

 最後にNFCラボ運営委員の杉本礼彦氏は、「NFCでより良く世界を変える」というNFCラボの理念を改めて紹介した。今後の活動を広げるためにNPO法人化に向けて準備していることやNFCを活用したフィールド試験の構想があることなどを披露して、半日にわたるセミナーを終えた。