富士通は2012年7月27日、2012年4~6月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比2.9%減の9573億円。営業損益は250億円の赤字で、前年同期171億円の赤字から79億円悪化した。最終損益も237億の赤字(前年同期は204億円の赤字)となった。

 為替の影響を除けば、売上高は全体でほぼ前年同期並みだとしている。国内と海外に分けて見ると、海外は為替の影響を除けば売上高は前年同期比2%減で大きく落ち込んではいないという。為替以外の主な減少要因としては、北米での光伝送システムやUNIXサーバーの不振を挙げた。一方、国内の売り上げは同0.1%減でほぼ横ばいだった。

 記者会見した加藤和彦CFO(最高財務責任者)は「国内のITサービス/関連製品は、受注はリーマンショック前の水準に達しており、IT投資に回復感が出てきている。このためIT関連は例年の傾向通り7~9月期に売り上げが積み上がっていくだろう。また、携帯電話も7~9月期に大きな回復を見込んでいる」とし、国内事業の先行きについては比較的楽観的な見解を示した。

主要セグメントで営業損益が上向いたのはITサービスのみ

 ITサービスやIT関連製品などの「テクノロジーソリューション」のセグメントは、売上高が前年同期比4.9%減の6271億円で、営業利益は同65.4%減の8億円となった。同セグメントの内訳として、システム開発を含む「サービス」事業は、製造・流通・公共分野を中心に国内のIT投資回復を受けて営業損益は前年同期比139%増で49億円の黒字だった。一方、サーバーや通信機器などの「システムプラットフォーム」事業は北米や欧州での不振を受けて前年同期の4億円の営業黒字から、40億円の営業赤字へと悪化した。

 パソコンや携帯電話などで構成する「ユビキタスソリューション」セグメントは、売上高が前年同期比0.4%減の2346億円。営業損益は前年同期はゼロだったが、今回は20億円の赤字へと悪化した。欧州パソコン市場の採算性低下や携帯電話の減収が影響した。

 半導体などの「デバイスソリューション」セグメントは、AV機器向けLSIの低迷が響き、売上高が前年同期比7.5%減の1303億円。営業赤字は前年同期の10億円から36億円に悪化した。

 為替の影響などを織り込んだことで、富士通は通期の連結業績予想(関連記事)を一部修正。売上高を200億円減額し、前年同期比1.4%増の4兆5300億円とした。営業利益(1350億円)、経常利益(1200億円)、純利益(600億円)は従来予想を据え置いている。