写真1●オープンデータ流通コンソーシアム設立発表会での記念撮影。前列中央が会長の小宮山宏・三菱総合研究所理事長
写真1●オープンデータ流通コンソーシアム設立発表会での記念撮影。前列中央が会長の小宮山宏・三菱総合研究所理事長
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写真2●オープンデータ流通コンソーシアムの理事会メンバー。左から小宮山宏氏、坂村健氏、徳田英幸氏、渡辺捷昭氏。村井純氏はビデオメッセージを寄せた
写真2●オープンデータ流通コンソーシアムの理事会メンバー。左から小宮山宏氏、坂村健氏、徳田英幸氏、渡辺捷昭氏。村井純氏はビデオメッセージを寄せた
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 三菱総合研究所は2012年7月27日、公共的なデータのオープンな利活用を産官学共同で推進する「オープンデータ流通推進コンソーシアム」を設立した。同日、東京都文京区の東京大学で設立発表会を開いた(写真1)。2013年3月以降に、年次報告会を開催する予定である。

 設立発表会で、コンソーシアム会長を務める三菱総研の小宮山宏理事長は「国費で収集・作成したデータは国民の共有財産であるはずだ。海外では国家機関が公開している気候・地質データや、収集したセンサーデータは民間で広く活用されている。日本でもオープンデータを推進し、産業革命、情報革命に続く『プラチナ革命』を牽引したい」と意気込みを話した。

 続いて、コンソーシアムの顧問を務める3人がそれぞれ約10分間のスピーチをした。共通して訴えたのは、日本における公共データの扱いにくさである。

“固まった形”では公開と言えない

 坂村健・東京大学大学院情報学環教授(写真2の左から2人目)は、英国の公営企業であるロンドン交通局(TfL=Transport for London)の公共データ公開事例を挙げた。TfLのWebサイトには「Developers' Area」というコーナーがあり、アプリケーションの開発者向けに、プログラムで自動的に扱えるAPIの形で様々なデータを配信している。地下鉄・バスの運行状況だけではなく、個々の車両の現在地や、道路状況のカメラ画像、現在開催中のロンドン五輪関連イベントによる「駅での待ち時間予測」などのデータも、容易に取得できる。

 ロンドンでは、これらのデータと電子地図を“マッシュアップ”することができる。例えば鉄道好きの個人が、地下鉄車両が動く状況を地図上にリアルタイムで表示する「Live train map for the London Underground」を開発するなど、様々な利活用が行われている。坂村教授は「日本で公共情報を出す場合は、PDFやGIFファイルなど“固まった形”で出すケースが多い。誰もが自由に利活用できないのでは、“公開”とは言えない」と強く主張した。コンソーシアムでは公共データを扱うAPIの標準化などを目指す。