写真●ベストティーチャーの宮地俊充社長
写真●ベストティーチャーの宮地俊充社長
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 隙間時間を活用したオンライン英会話サービス「Best Teacher」を提供するベストティーチャーは2012年7月26日、登録会員数が1000人を超えたと発表した。5月上旬のオープンから2カ月半での1000人超えは、「同様のサービスを提供する他社よりも早いペース」(同社代表取締役社長の宮地俊充氏、写真)という。

 同社は、今回の発表に加えて、「ピボット」(事業の軌道修正)によって、有料会員を増やしたことも明らかにした。ピボットは、新事業を始める際の手法「リーン・スタートアップ」などで頻繁に取り上げられるキーワードで、顧客からのニーズを取り入れながら、市場に最適な商品に変更していくプロセスを指す。

 Best Teacherの特徴は、「受講生が教師との『テキストチャット』を通じて自分だけの教科書を作る」と「その教科書で身につけた表現をSkypeを利用した『ビデオチャット』で実践する」というステップを繰り返すことにある。自分にとって、より現実感があるシチュエーションを選ぶことで、英語が身につくことを狙った。同社が用意するシチュエーションは400ほどある。

 宮地氏によると、5月10日に始めた当初の無料体験プログラムでは、登録会員のうち有料会員になった比率は3.5%だった。それに対して6月2日以降に始めた新無料体験プログラムでは、有料会員化率が6.7%に跳ね上がったという。

退会状況を分析して体験版の内容を見直し

 有料会員の比率が上がったのは、当初の体験版では「テキストチャットレッスン5回+ビデオチャットレッスン1回」という設計にしていたものを、新無料体験では「テキストチャットレッスン1回+ビデオチャットレッスン1回」に変えたためだという。以前の体験版で退会するユーザーを分析してみたところ、チャットレッスンの5回が終了する前に離脱しているユーザーが多かったという。そこで、短いサイクルで同サービスの魅力を体験できるようにしてみた結果、有料化率を引き上げられた。

 実はベストティーチャーでは、今回のピボットの前にも、別のピボットを経験している。開発当初は、ソーシャル機能として、他者の良い表現を取り入れる「いただきボタン」と、Yahoo!知恵袋のような第三者からのアドバイスを受けられる機能を用意していたのだが「あまり機能していなかった」(宮地氏)という。現在はこれらの機能は取り入れていない。

 以上の経験を通じて宮地氏は、「リーン・スタートアップや顧客開発の考えは正しい。実際にコードを書き、サービスとして提供することで、頭の中で考えていたこととは違った結果になることがよく分かった」とする。

 今後、iPhoneアプリを作成し、「ユーザーの隙間時間を活用した英会話レッスン」という特徴を強化していくという。さらに、秋には追加出資を目指している。