写真1●KDDIの田中孝司社長
写真1●KDDIの田中孝司社長
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 KDDIは2012年7月25日、2012年度第1四半期(2012年4月~6月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比4%減の8616億1500万円、営業利益は同32.8%減の942億1100万円の減収減益となった。

 前年同期比32.8%減と大幅に落ち込んだ営業利益が目を引くが、同社の田中孝司社長(写真1)は「モバイル通信料の収入減や端末評価減の一時的発生によるほか、3M戦略の先行投資コストがかかった影響による」と語る。ただし第2四半期以降は、au契約数が増加していることからモバイル通信料収入減が改善傾向に入っており、これまで500億円規模のコストがかかっていた旧800MHz帯の移行も、2012年7月の完了したことで、大きな利益の押し上げ効果があると説明。期初に示した5000億円という営業利益の通期予想は据え置いた。

スマバリは133万、スマパスは147万契約に伸長

 会見の前半は、同社が3月から開始した「3M戦略」(関連記事)の進捗状況を説明した。

写真2●auスマートバリューの進捗状況
写真2●auスマートバリューの進捗状況
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 まずFTTHおよびケーブルテレビなど指定の固定通信サービスと組み合わせて利用することでauスマートフォンの利用料金を割り引く「auスマートバリュー」は、開始4カ月でau契約数で133万、固定系の契約世帯数で82万に達したことを明らかにした(写真2)。同社では、2012年度末までにau契約数が310万、固定系の契約世帯数を155万という目標を設定。進捗率はそれぞれ27.5%、34.2%となる。田中社長はこの数値について「非常に好調に推移している」と強調した。

 auスマートバリューの狙いとして同社は、(1)家族内のauシェア拡大、(2)固定系契約の拡大、(3)販売コストの効率化、(4)提携事業者との連携、(5)オフロードの促進、の5点を打ち立てている。田中社長は、これらそれぞれの効果についても狙い通り進展していると語った。例えば、スマートバリュー契約世帯におけるau契約数は、3月末の1.5から6月末には1.6に拡大。固定系の契約数も、FTTHサービス「auひかり」の第1四半期の純増数が前年同期比2.8倍となる15万1000契約に大幅増となっている。

 なお4月の決算時に、田中社長はauスマートバリューの損益分岐点として、携帯側では新規契約の20%の加入、固定側は新規契約の12%の加入という比率を明かしている(関連記事)。第1四半期の結果は、携帯側が25%、固定側(auひかり)が33%という数値であり、auスマートバリューは損益分岐点を超えて、利益を積み上げるフェーズに入っていることが見えてきた。

写真3●auスマートパスの進捗状況
写真3●auスマートパスの進捗状況
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 3M戦略のもう一方の一翼を担う「auスマートパス」(関連記事)については、6月末の契約数が147万に達したという(写真3)。スマートパス対応端末の販売数に対する契約率は6月の段階で80%近くという。auスマートパスは、付加価値サービスによって売り上げを拡大する狙いがあるが、こちらも田中社長は「非常によい結果になっている」と強調した。