米Googleに対して欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)が進めている欧州競争法違反容疑の調査を巡り、両者が近く和解する見通しだと複数の米英メディアが現地時間2012年7月24日に報じている。これにより、Googleは長引く係争と巨額の制裁金を回避できる可能性が高まった。

 ECのJoaquin Almunia競争政策担当副委員長は米Wall Street Journalのインタビューに対し、「我々は、Googleとの大筋合意に至った」と答えている。数日もしくは数週間以内に最初の専門的な会合を持つ予定という。一方Google広報担当者は「引き続きECと協力していく」と述べるにとどまった。

 この問題は、Googleの検索サービスを巡る商慣行について、競合企業がECに苦情を申し立てたことに端を発している。ECは欧州の価格比較サイトや法関連検索エンジンなどの垂直型検索サービス企業からの苦情に応えて、2010年11月にGoogleに対する正式調査を開始した(関連記事:欧州委員会、競争法違反の疑いでGoogleの正式調査を開始)。Almunia氏は2012年5月に、Googleの支配的地位の乱用と考えられる4点の懸念を示した上で、迅速な問題解決に向けた救済の機会を与えるとして、Googleに解決策の原案を提示するよう促した(関連記事:Google、罰金と制裁措置を回避できる可能性、欧州委員会が改善策の提示求める)。

 Googleはこれを受けて7月初めに改善案を提出。関係者の話によると、ECはGoogleの提案が和解に向けた話し合いを進める健全な根拠になると判断したという。改善案の具体的な内容は不明だが、事業における大幅な変更を提案しており、4点の懸念をすべてカバーしているという(米New York Times英Financial Timesの報道)。

 なお、上記メディアや米CNET News.comの報道によると、Googleは韓国やインドでも同様の調査を受けているほか、米連邦取引委員会(FTC)および米6州が独占禁止法あるいは消費者保護法に違反している疑いがあるとして同社を調べている。